不純な動機で、テレビ局を目指す②生半可な「若造」だった学生時代
大学時代の私は「法学部に入ったんだから弁護士くらいにならないと」という甘い考えで法律サークルに所属していたが、まったく勉強しないでバイトでお金を貯めては旅行にばかり出かけていた。
ゼミは刑法と少年法、そして死刑存廃論が専攻だった。「刑務所見学」と称して各地を巡る学外授業が、私にとっては大きな楽しみのひとつだった。
あるときゼミで、「テレビドラマが少年犯罪に与える影響」というテーマの研究をすることが決まった。
私たちのグループは、ゼミの卒業生の先輩の中からテレビ局に勤務している人を担当することになり、テレビ朝日の『土曜ワイド劇場』という二時間サスペンスドラマのプロデューサーを訪ねて話を聞くことにした。
そこで聞いた話は私にとって「目から鱗」のことばかりで、とても刺激的に思えた。
生意気なことに、将来に関して「毎日同じことをやるサラリーマンは嫌だなぁ」なんて考えていた私にとって、テレビ局の仕事は輝いて見えた。どんな仕事であっても毎日が同じではない。やりようによっては、刺激的であるはずだ。それは自分自身の気持ち次第だ。
そんな当たり前のこともわからないほど、「若造」だったのだ。
そして「テレビ局に行けば毎日、違う人と出会い、違う環境でおもしろい仕事ができる」と思い込んでしまった。
だが、そんな不純な動機で、テレビ局を「憧れの存在」としてしか見ていない私のような学生をやすやすと受け入れるほど、テレビの世界は甘くない。(次回に続く。本文は1月にポプラ新書から発刊予定の拙書からご紹介しています。そちらの方にはもっとたくさんのエピソードが満載ですので、ぜひお楽しみに!)