【「今日のタブチ」のおススメドラマ】Netflix『恋愛バトルロワイヤル』は単なる「恋愛ドラマ」ではないー日本のドラマの方向性を示唆する秀逸な作品

Netflixの敏腕プロデューサー、岡野真紀子氏が手掛け、8月29日から配信が開始されているドラマ『恋愛バトルロワイヤル』を視聴した。一言で、なかなか骨太で考えさせられるドラマだった。
正直、最初は「恋愛ドラマ」かと思って見始めたが、「恋愛ドラマ」の体を成しながらちゃんとした「社会派ドラマ」になっている。「恋愛禁止」という校則によって退学になった女生徒が学校を訴えるという実話に基づいたフィクションだが、よく調べられていて作り込まれていると感心した。
テーマとしては、「教育格差」「学校の在り方」だ。どちらの問題も、大学と高校の違いはあれど同じ教育者として身につまされ、考えさせられるものだった。本学にも議論の対象になるようなルールがあるからだ。
「恋愛禁止」の校則を断固として廃止しようとしない寺島しのぶ氏演じる校長は言う。
「学校は何があっても生徒を守らなければならないんです」
それも私にはよく理解できる。このドラマは、「学校は誰のためにあるのか」という大きな課題を私たちの前に突きつける

そして、この『恋愛バトルロワイヤル』のもうひとつの意義深さは、今後の日本のドラマの方向性を示唆しているということだ。
地上波ドラマは何となく気軽に見られるものが多い。エンディングも「バッドエンド」より「ハッピーエンド」が好まれる。「リアル」を隠し「夢」を描くのが地上波ドラマだ。しかし、地上波視聴率が頭打ちどころか下落に歯止めがきかない状況のいま、「夢」を描いていては視聴者の興味をひくことはできない。目の前にある問題や事件を〝リアルに〟描くことで、視聴者の関心をくすぐろうとしている。そのいい例が『虎に翼』だ。この『虎に翼』に関する分析は、最終回に合わせてネットで論考を発表する予定なので、楽しみに待たれたい
話が逸れたが、そういった意味でこの『恋愛バトルロワイヤル』は今後のドラマが向かうべき未来像を見せてくれている。そういう意味で、なかなか意義があるドラマだった。

「恋愛バトルロワイヤル」公式HPより
https://www.netflix.com/jp/title/81486321

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