【おススメ映像】GWに「母性」と何かを考える~偶然に視聴した配信ドラマ『エンジェルフライト』と映画『母性』の共通性

米倉涼子主演、古沢良太脚本の『エンジェルフライト』が地上波のNHK総合で放送されている。AmazonPrimeで世界配信され話題となった際には見逃していたので、このタイミングになってしまったが、改めてAmaPraで一気見した。これは佐々涼子氏の『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』を原作としているが、〝期待通り〟古沢氏の脚本が冴えわたる作品で、終始、涙腺が緩みっぱなしだった。作品批評はいくらでもあるし、舞台となる国際霊柩送還を執り行うエンジェルハース社のメンバーのキャスティングが素晴らしくキャラ分けされていたことなど多くの「称賛ポイント」はあるが、この場では論点がずれるため省略する。今回述べたいのは、作品の大きな柱となっている、松本穂香氏演じる新入社員・高木凛子と草刈民代氏演じるその母・塔子との確執についてである。
母親の愛情を求める凛子とどうしても娘を愛せない塔子の対照的な感情表現が見事だった。女性は子どもを産むと否応なく「母」となる。だが、このドラマの塔子の様にどうしても子どもを愛せないという人もいるのだろうと思わせられた。
だが、どうしてそんな感情が生まれるのか、そしてその感情は母から「娘に対して」だけなのか、そういった疑問はこの『エンジェルフライト』を見ているだけでは解消できなかった。
そして、映像というのは「魔術(マジック)」のようなものだとつくずく感じたのが、まるでタイミングを計ったかのようにちょうど同じくAmaPraで映画『母性』の公開が始まり、続けて視聴する機会を得られたことだ。
母性』は、湊かなえ氏原作、主演・戸田恵梨香氏、共演・永野芽郁氏の映画だが、母親である戸田氏と娘の永野氏の両者の目線で物語が進行してゆく。当然、それぞれの主観なので、感情や行動の表現も異なったものになる。その「食い違い」を観る者がどう解釈し、埋めていくかを楽しむという趣向が凝らされた作品だ。戸田氏の鬼気迫る演技に引き込まれた。
そしてこの作品を見て、何となく「母性」というものがどういうものなのかがわかった気がした。劇中でも語られる「母性は本能ではなくあとから備わるもの」という考えによれば、それが生じない人もいるし、生じる人もいる。また、どうしてもわが子を愛せないという感情は「同じ女性として娘を見てしまう」という点においては、母から「娘に対して」のみに生まれる感情なのかもしれないと感じた。
GWにたまたま視聴することができた2つの作品に「母性」について考えるよい機会をもらえた。
映像は私がいくつになろうが、新しい発見や気づきを与えてくれる。これこそ、人生の喜びと言えるだろう。

映画『母性』オフィシャルサイトより

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