【今日のタブチ】「心情等伝達制度」が教えてくれる他者の「こころの内」を知ることの難しさ
今朝の新聞には、施行されて1年経つ「心情等伝達制度」についての記事が載っていた。こういう「地味だが実は大切なこと」をしっかりと一面のトップに持ってくるところが東京新聞らしくて好きだ。
「心情等伝達制度」とは、犯罪被害者や遺族の思いを刑務所や少年院の職員が聞き取り、加害者に伝える制度だ。
この制度のメリットは、被害者側の思いを聞いた加害者側が謝罪の意を示したりすることで被害者遺族が多少なりとも救われるという点だ。しかし、その反面でメリットもある。
加害者のこころない言葉に傷つくなどの「二次被害」の危険性があるということだ。
ある被害者の父は、加害者から「お前が迎えに行かなかったから、娘は死んだんだよ」と言われたという。
この問題は、いかに他者の「こころの内」を知ることが難しいかを教えてくれる。
この件について、私の大学時代からの友人である慶應義塾大学法学部教授の太田達也氏が語った言葉が印象的だった。
「加賀市派の言動を被害者側に通知するにあたり、表現がストレートでも、丸めすぎてもよくない。的確にまとめられるように人を養成してゆくのが大切」
太田氏は、介在する刑務所職員らの研修が大切と説く。介在する人が多くなればなるほど、コミュニケーションは困難になるからだ。
私はこの「心情等伝達制度」について期待していることがある。もちろん、被害者の心情に寄り添うことが第一義ではある。だが、こういった制度によって被害者遺族の気持ちを加害者が知り、そこに応えるというコミュニケーションを経ることで、人間らしい感情や人のこころを理解することを促す作用があるのではないかと考えるからだ。
それによって、犯罪者のリテラシーを養い、改悛のこころを芽生えさせ、再犯を防ぐことにつながるのではないだろうか。
「カンテレNEWS」より
どのような地位においても、言葉でコミュニケーションがとれる素晴らしさには、もっともっと気づきたいです。
yamato様
コメントありがとうございます。
仰る通りですね。SNSなどの相手が見えない時代だからこそ、
言葉で伝えあえる関係とその力がますます大切になると思います。
田淵俊彦 拝