【今日のタブチ】「架空世界」を緻密に創造する中学2年~「人工言語」を考え出すことの意義は何か?

今朝の新聞には、オリジナル言語をいちから作っている中学生が紹介されていた。練馬区の中学2年、須川宗一郎氏である。自ら考えた架空の世界で話されているという設定で、文法や発音の細かいルールもある。須川氏が描いた「エウェル王国」は空想上の世界地図のほぼ中央に位置している。交易が盛んで豊かな国土を持つが、争いが絶えないという。
日本語や英語など、民族や国家などによって自然に発生した言語は「自然言語」と呼ばれるが、今回のような個人や団体が人為的に文法や文字などを作成したオリジナル言語は「人工言語」と総称される。
高校の学びとしてこの「人工言語」を作成する試みをおこなっているところもある。愛知県豊橋市の桜丘高校の冬休み探求授業では、日本語をベースに、外国人日本語学習者がより学びやすいと感じる半人工言語「サクランゲージ」をグループごとに作成した。
今日の中学2年生の記事を読んで、テレビ東京がかつておこなっていた「若手映像グランプリ」のことを思い出した。これはテレ東の若手クリエイターを対象に企画を募集し、社員が投票してグランプリを決めるというものだ。グランプリに選ばれると、放送権を得ることができる。そして2022年のグランプリを獲ったのが、『Raiken Nippon Hair』という番組だった。架空の国ネラワリで放送されているクイズ番組で話されている言葉は、「人工言語」ネラワリ語である。見ていても、何を言っているかさっぱりわからないのだが、「日本に一番詳しい人」を決める内容だと聞くと、なんだかそんなように聞こえてくるから不思議な感覚だった。何より、「こういう発想をする若者が現れるようになった」という現象に驚いたものだった。

「人工言語」で有名なものは、エスペラント語やドーラ語があるが、今回の高校生が述べているように、創造性や自己表現の想像の世界のキャラクターや文化のリアリティを高める効果がある。また異なる母語を持つ人々が互いにコミュニケーションするための共通の言語として役立つ
そして私が指摘したいのは、人工言語を研究することで、言語構造人間の認知について新しい洞察を得ることができる点だ。人間は「言葉」や「言語」のどの部分のどういった認知によって「識別」「判別」するのかということを研究するのは楽しいだろう。もしかしたらその先には、「言葉を使わないでもコミュニケーションが取れる方法」を発明することができるのではないか。そんな風に私は妄想を膨らませている。

「YouTube」より
テレビ東京『Raiken Nippon Hair』の一画面

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