【今日のタブチ】「消えない」とあきらめない…「性的画像」6万7,000件の削除に成功~「リベンジポルノ」や「セクストーション」などの「デジタルタトゥー」に光明か?
「リベンジポルノ」や「セクストーション」、さらには生成AIを使った「性的ディープフェイク」まで──ネット上の性被害は年々巧妙かつ悪質になっている。しかし、そんな絶望の只中にも、消えないはずだった「デジタルタトゥー」に光が差している。
性被害に苦しむ人々を支援するNPO法人「ぱっぷす」が、SNSなどに投稿された性的画像の削除を、被害者に代わってサイト側に要請してきた。2019年度から2024年度までの6年間で、削除件数はおよそ6万7,000件──驚くべき成果だ。
「もう消えない」と泣き寝入りするしかなかった人々にとって、「相談すれば変えられる」という事実が示されたことは、まさに希望そのものだ。
画像削除を要請するには、自ら被害画像を見つけ出して確認しなければならず、精神的負担は大きい。個人では到底太刀打ちできないその領域で、「ぱっぷす」は被害者の「心の支え」と「勇気」となってきた。
一方、復讐目的で元交際相手の写真を流出させる「リベンジポルノ」はストーカー行為と化し、性的画像を送りつけて「ばらまくぞ」と脅す「セクストーション」も、金銭目的の極めて悪質な犯罪だ。さらに最近では、生成AIによって顔写真が性的画像に加工される「ディープフェイク」が登場し、悪意の想像力には限りがない。
問題は、削除要請に応じないサイトがいまだに存在すること。2025年5月末時点で、削除されずに残っている画像は3万625件。多くが海外サイトだという。それでも、「ぱっぷす」はAIを活用し、被害者の画像を特定するシステムを開発。拡散された画像が掲載されている複数のサイトを突き止め、粘り強く削除申請を続けている。その根気と技術力に、ただただ頭が下がる。
そして、今日の話題が私たちに投げかけている最大の教訓はこれだ。
一度ネットに投稿した画像や映像は、完全に消し去るのがいかに困難か─「軽い気持ち」のクリックに、取り返しのつかない代償が伴うという現実を忘れてはならない。
「少しだけ立ち止まって考える」、その一瞬の慎重さが、未来の自分や他人を守るかもしれないのだ。
「千葉日報オンライン」より