【今日のタブチ】『あぶない刑事』と『殺人クラブ』に観る「老い」の可能性――病気という「履歴書」を携えて生きるということ

今日のブログは日曜日でもあるので、少し軟らかめに行こうと思う。
配信で「歳を取るのも悪くないな」と思える作品を見た。Amazon Primeで公開中の『帰ってきた あぶない刑事』と、Netflixの『木曜殺人クラブ』だ。
『あぶない刑事』は、映画公開時に気になっていたが見逃していて、言わずと知れた昭和の刑事ドラマの金字塔。今回の映画では、舘ひろし74歳柴田恭兵73歳という年齢にもかかわらず、あのアクション、あのスーツの着こなし、そしてあの軽妙なセリフ回しが健在で、驚異的としか言いようがない。年齢を重ねたからこそ醸し出せる渋さと余裕が、画面の隅々にまで滲み出ていた。仲村トオル氏もいい演技をしていたが、60歳の仲村氏が「若造」に見えてしまうから不思議だ。
一方の『木曜殺人クラブ』は、イギリスではシリーズ累計数百万部を超えるベストセラーとなったリチャード・オスマンの人気原作を映画化したもので、公開前から豪華キャストと監督陣の顔ぶれに注目が集まっていた。英国の高級高齢者施設を舞台に、平均年齢70代の住人たちが未解決事件に挑むというミステリー。ヘレン・ミレン氏、ベン・キングズレー氏、ピアース・ブロスナン氏らが演じるキャラクターたちの推理力と行動力もまた、驚異的である。ヘレン・ミレン氏の80歳を筆頭にメインキャスト4人の平均年齢は76.5歳。人生経験がそのまま武器になる展開は、歳を取ることの可能性を再認識させてくれる。
こうした作品を観ていると、「歳を取るのも悪くないな」と思えてくる。もちろん、現実にはそれなりに不具合もある。私自身、現在61歳。これまでに椎間板ヘルニア、前立腺がん、白内障と、結構大きな三度の手術を経験してきた。現在も高血圧、高脂血症、痛風の薬を服用しながら、足底筋膜炎のために日々トレーニングを続けている。そして最近は、難聴気味で耳鼻科に通院中だ。
こう書くと、まるで“病歴自慢”のようだが、実際には「生き延びてきた証」として、どこか誇らしくもある。むしろ、これらの経験を経て、今だからこそ語れることがある。そこで今日は、私的見解による「60歳までにやっておいた方がいい手術」ランキングを、少しウィットを込めて紹介したい。
順位をつけるつもりはないが、私自身の経験から“やっておいてよかった”と思える手術を並べてみた。
まずは白内障手術。視界がクリアになると、世界の色彩が変わる。映画も読書も、再び楽しめるようになる。何よりも、毎朝コンタクトを入れ、毎晩外すという煩わしさから解放されたことは、日々のストレスを大きく軽減してくれた。次に前立腺がんの早期発見と手術。命に関わるからこそ、早めの対応が肝要。50歳以上の方は、人間ドックの際に腫瘍マーカーの追加検査をお忘れなく。私もこれで、がんを発見することができた。そして椎間板ヘルニアの手術。痛みからの解放は、歩くことへの喜びを取り戻す。今は腰に巨大なチタンが入っているから、どんな運動にも耐えられる。耳の治療も忘れてはならない。難聴は、語りのリズムを狂わせる。聞こえの質は、語りの質に直結する。
もちろん、病気で苦しむ方々への配慮は忘れずにいたい。手術は敗北ではなく、再起のための選択肢。歳を重ねることは、人生の厚みを増すことでもある。『あぶない刑事』の2人も、『木曜殺人クラブ』の4人も、年齢を重ねたからこそ語れる物語を持っている。私もまた、病歴という“履歴書”を携えて、語るべき物語のなかで生きている。
歳を取るのも、悪くない。そう思える日曜の朝にこのメッセージを送りたい。

「Amazon Prime Video」HPより

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