【今日のタブチ】ホンダと日産の「統合」から読み取れること~国民の信頼を回復する努力を怠った結果は?
ホンダと日産の本格的な経営統合が発表された。世論のなかには、世界NO.3の販売台数を誇る企業の誕生を明るい話題として歓迎する声もある。しかし、私はこの結果をもっとシビアに分析している。
ご存じのように、日産には「お家騒動」の話題が付きまとう。皆が「最近、調子いいかな……」と思った頃に、必ず何かを起こすのだ。これは「社風」なのか。カルロス・ゴーン元会長の逮捕以前からもいろいろとあったが、それらのごたごたに関して国民にちゃんと説明が行われたことは皆無だ。そしてゴーン氏の後を継いだ西川社長も退任。思えば、労組対策や無謀な海外展開、そして社内の権力争いで日産の歴史は混乱が続いてきた。
繰り返すが、問題なのは自動車メーカーというナショナルカンパニーであるにも関わらず、日産にはその意識がない。
「お家騒動」があったらちゃんと国民に説明するべきだ。しかも、自動車は人の命を預かる商品だ。あまりにも大衆をないがしろにし過ぎないか。
そんな会社だから、国民からも見限られ、国際社会からも置いてきぼりを食らうのだろう。挙句の果てには、経営不振、外国資本からの買収攻撃……すべて身から出た錆だと言わざるを得ない。
このままかたちだけの「統合」をおこなっても、国民の信頼は得られない。失敗は目に見えている。
そしてそのうち、だれも日産の車は買わなくなるだろう。私は少なくとも買わない。
「日本経済新聞Web」より