【今日のタブチ】中国との「パンダ外交」の危険性~「地球の宝」であるはずの野生動物に「所有権」はあるのか

日中友好議員連盟の訪中団がジャイアントパンダの新たな貸与を中国に要望したことについて、中国側は「歓迎する」と貸与に前向きな姿勢を示した
現在、日本でパンダを見られる場所は、東京の上野動物園と和歌山のアドベンチャーワールドの2ヶ所だけだ。上野動物園ではシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)の2頭、アドベンチャーワールドでは良浜、結浜、彩浜、楓浜の4頭が暮らしているが、報道によると、6月末ごろに中国に返還される予定だという。これによって、国内で飼育されているジャイアントパンダは上野動物園の2頭のみになる。そのため、パンダ貸与に関する活動が活発化しているのだ。
皆さんは「パンダ外交」と言う言葉を聞いたことがあるだろう。「外交」というと積極的な施策のように思えるが、これには「裏」がある。

パンダ外交の「裏」とは、中国がパンダを「友好の象徴」として相手国に贈る際、実際には外交交渉や経済的な利益を得るための戦略的な側面があることを指す。これは、根本的な問題として、日本で飼育されているパンダの「所有権」が中国にあるということがある。
そして、「パンダ外交」の「裏」とは具体的に以下の2つの側面がある。


1.高額なレンタル料:都が中国側に支払う「レンタル料」は年間約95万ドル(約1億800万円)に至る
2.外交交渉の道具:中国が相手国との関係を良好に保ち、外交交渉を有利に進めるための戦略的なツールとして利用する

今回の日本側の交渉役は、日中友好議員連盟だ。この団体には、日中国交正常化を果たした元総理大臣の田中角栄の流れを汲む木曜クラブや茂木派や二階俊博氏の志帥会に所属する議員が多い。どの派閥も中国とのパイプを築きたい親中派だ。そして、その目的はそういったパイプを政治的に利用することであることに注意しなければならない。パンダ外交は、表面上は友好の象徴としてパンダを贈るように見えるが、実際には、外交交渉、経済的な利益、中国の外交戦略に大きく関わる「裏」の側面がある。
そして私が今回のことで思ったのは、「地球の宝」であるはずのパンダに「所有権」はあるのか、ということである。それはかつて中国・揚子江のドキュメンタリーを制作した際に、四川省の成都パンダ基地を取材したときに感じた違和感を思い出すからだ。
成都パンダ基地は別名「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」と呼ばれているように、研究の大きな目的は繁殖だ。膨大な労力と資金を投入して、パンダの繁殖をおこなっている様子を目の当たりにした。「地球の宝」であるはずのパンダは、いまや大金を稼ぐ稼ぎ頭の「中国の宝」となっている。これは「共有財産の独占化」と言えないのか。はなはだ疑問だ。

「人民日報」HPより
写真提供・成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地

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