【今日のタブチ】人身売買でミャンマーの犯罪組織に売られた16歳の少年~日本で年間1万8千人の10代若者が行方不明になっているという事実

今朝の新聞には、タイ当局がミャンマー国境付近でミャンマーの犯罪組織で特殊詐欺に従事させられていた16歳の少年を保護していたことを発表したと報道されていた。
私が以前から注視していた、国際的な人身売買の存在が明白になった。まず最初に、本人の心身を心配するとともに、親御さんの気持ちを考えると同じ親として胸が痛い。こころから、一日も早く平和な「日常」を取り戻されることを祈念したい。
そして、この事件には2つの事実が隠されていることを指摘したい。

1.行方不明の未成年が年々増加しているという事実
2.特殊詐欺などの犯罪にはこういった被害者が加担させられている可能性があるという事実

警察庁の発表によると、2022年の未成年者の行方不明者数は9歳以下の子どもで1,061人、10代で14,959人にも上る。2023年はさらに、9歳以下の行方不明者数は1,115人と50人以上も増え、10代は17,732人と前年比20パーセントも増えている。この数字を知ると寒気がしないだろうか。少子化のこの時代に、10代の未来ある若者がおよそ1万8千人も消えているというのだ。もちろん、そのなかには家族関係のトラブル、学業や進路への悩み、友人関係によるトラブル、虐待からの避難というのもあるだろうが、今回の少年のように事件や事故に巻き込まれるという事実は看過できない。
その先には、国際的な人身売買組織がいる。私はこのテーマでドキュメンタリーを企画していた時期があったが、裏業界の事情をよく知る人物から「命が惜しければ、やめておいた方がいい」と忠告された。それでも一時は義侠心に燃えていたが、いくら取材してもあまりにも情報が集まらず、やむなく断念したという事情がある。
人身売買の目的は、単純に子どもが欲しいという富裕層もいるが、性的な慰み者にする目的や臓器移植、犯罪要員といしての目的と不法なことの方が多い。
今回の16歳の少年は、タイの国軍と警察によって日本人として初めての「人身売買被害者」と判断された。
国境地帯の犯罪組織には、いまだ推定7千人が捕らわれているという。単に無駄にカネをばらまく国際支援ではなく、こういった現状打破のために、カネとヒトを使ってほしいと願うのは私だけではないだろう。

ミャンマーにある特殊詐欺の拠点から救助されたとみられる人々
=12日、タイ北西部ターク県(タイ軍提供・AP=共同)

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