【今日のタブチ】本学・桜美林大学のゼミ生を連れて、テクノマックスビデオセンターへ現場研修に行ってきた――「教科書では届かない領域」に学生が触れた瞬間

今日は、ゼミ生を引率して編集所へ現場研修に行ってきた。訪問したテクノマックスビデオセンターは、テレ東系の技術総合会社テクノマックスポストプロダクション部門である。2023年度に大学に入って以来、毎年お世話になっている。現在の社長は、テレ東時代の同期・前進氏。受け入れ窓口としてスケジュール調整などを担ってくれているのがセンター長・鮎貝盛光氏。この二人の尽力があってこその研修だ。改めて感謝を申し上げたい。
学生たちはまず、実際の編集室で、技術部長でMA総括の大前智浩氏、編集総括の米沼元之氏から話を聞いた。編集の技術的な仕組みだけでなく、日々の苦労、プライドの持ちどころ、こだわりなど、メンタル面にも踏み込んだ語りが熱く繰り広げられ、学生たちは釘付けだった。真剣に耳を傾け、終了後には「面白かったです!」と口々に私に語った。それは心からの言葉だ。傍目で観ていた私には、彼らの熱量がビシビシと伝わってきたからだ。
編集室やMAルームの見学も含め、すべてが学生にとっては貴重な経験となった。現場の空気を吸い、プロの仕事に触れ、肌で感じた。特に「現場の厳しさ」をしっかりと感じたと思える瞬間があった。大前氏が「いま学校でやっていることと、実際のプロの仕事は天と地ほど違う」という言葉を述べたときだ。学生たちは一瞬、息を呑んだ。自分たちが日々取り組んでいる課題や演習を「カネをもらってする仕事」にするためにはどうしたらいいのか。“いまは答えが見えない”その問いの大切さに気がついたからだ。その問いに向き合うには、現場でしか得られない感覚や視点が必要になる。現場の空気、プロの矜持、編集という仕事に宿るこだわりと責任。これらこそが、教室では得られない“実学”だ。彼ら彼女らは、戸惑いながらも、その言葉を真正面から受け止めたことだろう。
このギャップを知ることこそが、学びの出発点。学生たちは今日、ただ知識を得たのではなく、自分たちの立ち位置を見つめ直す機会を得た。それが教育の本質であり、現場研修の意味でもある。
うちのゼミの特徴は、こうした現場の人の声を聞き、生の意見に触れ、実際の現場を目で見ることができる点である。「教科書では届かない領域」に、学生を連れていく。それが私の教育のポリシーであり、責任であり、可能性でもある。

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