【今日のタブチ】炎上!「唐揚げ一個」給食~一食当たり平均約250円…隠された「制度の貧困」「教育現場の疲弊」という闇

福岡市の小中学校で提供された主菜が「唐揚げ1個」学校給食が、SNS上で批判を浴びた。後日、福岡市教育委員会は有識者による検討組織の設置も含め、改善策を協議すると発表した。SNS上では「見栄え」の悪さがネット民の不興を買ったようだ。批判が寄せられたのは、市内の小学校で4月に提供された給食。大皿の真ん中に唐揚げが1個、ごはん、みそ汁、パック牛乳という献立だった。SNSでは量の少なさを指摘する書き込みが目立ち、「戦後みたい」「病院食より酷い」と炎上。受刑者の食事と比較した上で「刑務所のほうが豪華」と揶揄する投稿もあった
福岡市では現在、小学校は4200円、中学校は5000円の給食費を毎月徴収し、公費も投入した上で給食を子どもたちに提供しているそうだ。2学期からは無償化する。
学校給食の仕組みは自治体によって異なる。文部科学省によると、すでに無償化した市町村は2023年時点で約3割だそうで、思ったより低い割合なのに驚いた。私はもっと「無償化」が進んでいると思っていた。
1食当たりに充てられる費用の全国平均は250円前後だというから、これでおかずを賄うのはかなり大変だ。
実際には唐揚げは1個60gで、通常の2個分のサイズ。カロリーと栄養バランスの基準は満たしていたが、「年度初めの予算抑制」という理由もあり、「見た目の貧相さ」が裏目に出た。
同様の例を調べてみた。大阪市では「おかずが少なすぎる」「パンとジャムだけ」という声が保護者から寄せられた。広島県では給食業者が業務停止、地域の給食が一時停止となる騒ぎがあった。静岡県でも給食停止で生徒が弁当持参、1か月間混乱が続いた。
もちろん、これらの「給食問題」の背景には、物価高がある。また、前述したようにどうしても年度初めは「安全運転」で値段を抑え、年度末に豪華化という予算配分をしなければならないという事情もある。しかし、私はそれだけではない「闇」がこの問題には隠されていると見ている。
それは、3つある。
1.民間委託の限界:価格競争で多くの業者が疲弊している。なかには倒産するケースもある。
2.国の責任放棄:給食費は自治体任せ、全国で格差が拡大している。
3.教員不足:栄養教諭が複数校を掛け持ちしているため、食育授業の実施頻度が減少。アレルギー児童への個別対応が形式的になって、事故リスクが高まっている。
「から揚げ1個」はこれらの「闇」の象徴に過ぎない。給食の貧困は、「教育現場の疲弊」のあらわれでもある。見た目の貧相さに怒る前に、制度の貧困に目を向けるべきだ。さらには、教育の現場に弊害が生じ、それが子どもたちの未来に影響する可能性があることに目を向けるべきだ。
給食は「昼食」ではなく、「教育」「食育」である。子どもたちの未来を支えるインフラが、予算と効率の名のもとに崩れていく。そんなことがあってはならない。

「朝日新聞デジタル」より

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