【今日の新聞から】タイの国王が同性婚を承認ー東南アジアで初めて、法案が実現した理由

タイのワチラロンコン国王が、同性カップルの結婚を法的に認める法案を承認した。同性婚の法制化は東南アジアでは初めて、アジアでは台湾、ネパールに続いて3例目だ。


王国であるタイでは国王の力は強く、軍の統帥権を持つ。また国民からの尊敬も一身に集めている。タイでは、宗教や民族における少数派もすべて「国王の子どもたち」として、排除せずに平等に扱う配慮がなされてきた。国王を中心とした社会を基盤に、国王を元首とする民主主義が貫かれてきた。これは「タイ式民主主義」「王式民主主義」と言われる。
タイは日本と同じく非植民地国だが、これは東南アジアで唯一である。
1932年の立憲革命で絶対王制が廃止され、立憲君主制に移行した。だが、同じく立憲君主制を採っているイギリスに比べて、国王は〝政治に近い〟存在である。そのため、立憲革命以降、軍のクーデターが未遂も含めて19回も起きている。国王が黙認することで、政変にお墨付きを与えたケースもあるという事実も指摘されている。

そんなタイ国王が、同性婚を承認したというのはとても大きな影響力を及ぼすと推測している。それは、国内のみならず、東南アジアの諸国に対してもである。そういった意味で、私は今回のことをとても評価している。素晴らしいことだ。
そしてそういった同性婚を後押しする理由がもう一つ、タイにはある。
タイは、世界でも有数の性転換手術の実績を持つ国の一つだ。そのため、高度な技術や設備を備えた病院が多く、手術の安全性が高いと言われている。日本での性別適合手術は高額な費用がかかることが一般的なので、手術をするためにタイを訪れる人も少なくない。
そういった社会の仕組みや雰囲気が、同性婚を〝自然なこと〟として普通に捉えているのではないだろうか。

「BBC NEWS JAPAN」より

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