【今日の新聞から】トランプ大統領の「劇場型」政権人事の顔ぶれに「世界不和を招かないか」という大きな危惧を抱く
私だけではないだろう。
連日発表されるトランプ大統領の政権人事の顔ぶれには、危惧を抱かずにはいられない。
あまりにも注目を浴びるだけのために、〝派手な〟「劇場型」の人事を展開しようとしていることが見え見えだからだ。
新設の「政府効率化省」もその役割がよくわからず、不明瞭。そのトップには、「オトモダチ」のイーロン・マスク氏。司法長官のゲーツ氏は性的人身売買で捜査対象にもなったことがある人物。国務長官のルビオ氏は対中国強硬派で中国政府から入国禁止の制裁を受けている。厚生長官に指名されたケネディ氏は「複数のワクチンが自閉症につながる」という発言が医療現場への混乱をもたらす可能性があるとされている。
そして一番問題と思われるのが、国防長官候補のヘグセス氏だ。ヘグセス氏はFOXニュースの司会者で、2017年に性的暴力の訴えを受け、警察が捜査をしたと言われている。バイデン元大統領時代の2021年には、対テロチームから「内部からの脅威になる可能性がある人物」と指摘されている。
百歩譲って、ヘグセス氏の報道は「噂」や「風評」の域を超えないとしても、その政治経験のなさはアメリカを背負うには役不足ではないかと思わざるを得ない。国防長官という、アメリカどころか、世界の和平を左右しかねない重要な役職にもかかわらず、ヘグセス氏には国防政策の経験はないというから驚きを通り越して、あきれるしかない。
唯一、史上最年少27歳の大統領報道官、レビット氏の抜擢はその実績やキャリアから考えても納得がいくが、ここまでの人選を見てしまうと、レビット氏の起用も「劇場」のひとつの仕掛けのようにおもえてしまう。
トランプ劇場がいよいよ開幕しようとしている。その日本への影響は計り知れない。日本政府や政治家たちは、襟を正して、毅然として立ち向かわなければならない。
そして、私たち国民の一人ひとりも注視し、声をあげなければならない。
次世代の子どもたちの未来のために。
「読売新聞オンライン」より