【今日の新聞から】ドラマ『不適切にもほどがある!』と東京都カスハラ条例
東京都は、顧客による暴言や理不尽な要求などの迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止条例を制定する方針を固めた。都によると、カスハラ防止に特化した条例は全国初となる。
このニュースを読んで、ドラマ『不適切にもほどがある!』を思い起こした。私は2018年に『ハラスメントゲーム』というドラマを制作した。これを企画していた2016年のころはまだ、そんなに「ハラスメントの波」が激しくなく、ハラスメントを真っ向から取り上げたドラマもこれが初めてだった。井上由美子氏の脚本がさえわたるとても痛快なドラマだった。主演の唐沢寿明氏の硬軟使い分けた演技も最高だった。このなかでも、スーパーのカスハラの問題を取り上げた。そしてあれから6年経った2024年のいま、『不適切にもほどがある!』ではドラマの中で「話し合いましょう~♪♪♪」とハラスメントの解決法をミュージカル仕立てで歌い上げる。
この歌で訴えているように、ハラスメント問題は「コミュニケーションの断絶」から来ることも多い。実はちゃんと話し合っていれば理解しあえることもあるということだ。もちろん、そんなレベルではないこともあるが、私は面と向かって話し合えば解決できることも多いのではないかと考えている。
それに比べて、ハラスメントの中でもカスハラはなかなか難しい。例えば、「上司と部下」のように同じコミュニティのなかにいる者同士であれば、本来は同じ目標に向かっていることが多いので話し合えばうまくいく場合もある。しかし、「店と客」という関係は「売り手⇔買い手」だったりするので、利害関係が対立することがある。そんなときに私が推奨したいのが、以前にこのHPでも紹介した近江商人の「三方よし」の考え方だ。お店側が利益だけを考えるのではなく「客のため」、しいては「社会のため」という意識を持っていれば自ずからと違ってくる対応もあるのではないだろうか。カスハラは、暴力的な客から小売業の働き手を守るという大事な役目がある。だが、そのことだけが強調されてすべての客を「モンスター扱い」にするのではなく、「三方よし」の考え方で接客をしてゆくという従業員側の意識も大事なのではないかと思った。
「TBS番組HP」より
「テレビ東京番組HP」より