【今日の新聞から】パレスチナ侵攻問題に声をあげる大学生たちVS拒み封殺しようとする大学側~いま、私たち教師がやるべきことは何か
アメリカの大学では、パレスチナのガザ地区へのイスラエルの侵攻に反対する抗議が過熱化している。そしてそれに対して大学側の対応も硬化している。
同時に日本の大学でも若い世代たちが、アメリカの抗議デモなどに連帯する動きが出てきた。
この動きに対して、いま私たち大学教師は何をすべきなのか。それは考えなければならない問題だ。
東大では構内で抗議デモがおこなわれた。主な主張は「イスラエルやイスラエルに関係する企業との学術提携を止める」ことである。京大でも同じような動きが始まった。
日本では昔の学生運動の時代はさて置き、若者が社会運動に取り組める環境づくりをおこなってこなかった。しかし、いまの時代は学生たちが勇気を出して歩み出した第一歩に、教師側もともに協力したり支援したりすることが必要だ。
デモや座り込み、動的な抗議運動でなくてもいい。例えば、アートで抗議することもできるはずだ。以前、このHPでも紹介した「抗議アート」である。
都内在住の30代の女性が企画した「パレスチナあたたかい家」の活動が新聞で紹介されていた。ガザの開放を願う刺繍や油彩画、多くの人が殺害されたジェノサイドへの怒りや涙のポスター、パレスチナの「抵抗」をあらわすスイカをモチーフにした雑貨など、110人の作家の作品を会場に展示している。ご存知のように、旗を禁じられたパレスチナの人たちが代わりに使い始めたのがスイカだ。 スイカはカットすると、パレスチナの旗と同じ、赤、緑、黒、白の4色になるからだ。
ただ、気をつけなければならないこともある。アートは一方的な自己満足ではいけない。表現は自由でもよいが、自分の想いがちゃんと伝わることが大切だ。例えば、皆が使うものを傷つけてメッセージを刻み込んだり、公共の場であることを考えずに座り込みや迷惑行為をおこなうことは「自由」とは言えない。自由は「責任」を伴うものなのだ。
私たち教師にはそういった信念や精神も同時に、若い世代に伝えてゆく義務がある。
「武蔵野美術大学校友会」HPより