【今日の新聞から】世界の山中伸弥氏も悩んでノウハウ本を読んだー勇気づけられる東京新聞「再読 あの言葉」
東京新聞の土曜版に「再読 あの言葉」というコラムがある。誰もが知る有名人の過去の言葉を振り返る記事だ。その人の「こころの軌跡」が読み取れて、とてもいい気づきが得られる素晴らしい企画だと感じている。
今回は、ちょうど今年のノーベル賞の発表が7日に始まることを受けて、iPS細胞の開発者でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏の言葉が引用されていた。このインタビューは2012年にノーベル賞を受賞する2年前の2010年におこなわれている。
アメリカでの充実した研究留学を経て日本に帰国した山中氏は、アメリカでは専門の技術者(研究者や学者ではない)が担当する実験マウスの世話に追われ、研究費もなく議論する相手もいなく、思うように研究が続けられなくなって、ほとんど鬱の状態に陥ったという。
そして研究の道をあきらめかけたころ、よく啓蒙書などのノウハウ本を読んだという。「もうダメだと思うときには成功の一歩手前」や「ジャンプするためにはかがまなあかん」とか、当たり前のことだろうが、そのときはそんな言葉が支えだったと告白している。
完全無欠の科学者が、ぐっと身近な人に思えるようになった気がした。
自分の「弱さ」を吐露できる人は、実は〝強い〟人だと私は思っている。自分の弱さをわかっているからだ。私はよく学生に面接のアドバイスとして以下のように話す。
「自己紹介をしてください」と言われたら、長所2割、短所8割で話してみて。そして自分のその短所を「どう克服してゆきたいか」「もし克服できたら、どんなふうに役立つか」というふうに説明するといいよ。
山中氏のような世界中が目指した夢の技術を実現したスゴい人、端から見ればスーパーマンのような超一流の研究者も同じように悩んだんだ……そう知ることで勇気づけられる。
人はどのようにでも変われる。そう、確信した。
「本の話」HPより