【今日の新聞から】書店の店頭で本を貸し出しするという発想ー「業界の垣根を超える」ことがいまの時代を生き抜くヒント

今日の新聞には、私の本学・桜美林大学近くの町田市の書店である取り組みが始まったという話題が載っていた。店頭で「図書館資料の受け渡しサービスを始めました」と掲示をして、本を貸し出しているという。店の外には「図書館本返却箱」も置かれている。
このような試みを聞くと、「本屋の売り上げが落ちるのではないか」と心配するのが普通だ。しかし、この発想は「業界の常識や垣根を超える」という素晴らしいものだ。
実際に、この試みを始めて逆に売り上げが伸びたという。学習参考書と児童書が前年同月比で約20%アップ、文具も15%ほど売り上げが増加した。

子どもは好きな絵本やお気に入りの本を繰り返し読む。私の娘も小さいときは「とら」の本が大好きで何度も「読んで」とせがまれていた。「そんなに好きなら」と手元に置いておこうと購入するケースが多いという。参考書は図書館では借りられないので、ついでに買い求める。また文具も「書店を訪れたついでに」買う人が多くなった。
書店で図書館の本を貸し出しているのは全国でここだけだというが、今後はどんどん増えるのではないかと思った。書店の方が語っていた言葉が印象的だった。

10年ほど前までは書店と図書館は「敵対関係」にあると言われていた。でも、もう争っている場合ではない。

これは、テレビの地上波とインターネットの配信との関係に似ている。2019年に電通発表の「日本の広告費」で地上波の広告費がインターネットに抜かれた当時は、テレビ局は配信を目の敵にしていた。しかし、いまはそんなことを言ってはいられない。共存共栄どころか、お互いのWINWINを模索してゆかないと共倒れという事態も考えられる。早急な「協働の施策」が必要である。

「業界の垣根を超える」ことがいまの時代を生き抜くヒントなのだ。

「日本経済新聞オンライン」より

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