【今日の新聞から】被団協がノーベル平和賞受賞!喜びの「向こう側」に隠されたアメリカの焦り

ノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会が受賞した。もちろん、喜ぶべきことだが、正直、私は遅きに失したと感じている。推測に過ぎないが、もしアメリカなどの障害がなければもっと早く評価されてもいい活動を長年にわたっておこなっているからだ。
1956年のこの団体の結成時には、米軍並びにアメリカ国はかなりの反発を示し、警戒と監視を強めたという。それはなぜか?
そこにあったのは、アメリカ「焦り」である。アメリカは「ほじくり返されたくないところをほじくり返される」ことを恐れていたのだ。いや、「いた」のではなくいまも「いる」と言っていい。それゆえ、当時の創立メンバーはさまざまなバッシングや生活における監視や威嚇を受けたであろうことは想像に難くない。それは、私には以下に述べるある確信に近い思いがあるからだ。

私は過去に山崎豊子氏の『二つの祖国』をドラマ化した。ご存じのように、山崎氏は毎日新聞の記者あがりなので、徹底的な取材や関係者へのインタビューをおこなってから執筆をする。だから、そのフィクションであるはずの小説も、事実に裏付けされるリアリティが感じられ、説得力と重厚感があるのだ。その山崎氏の『二つの祖国』に印象的なシーンがある。
日本に原爆が投下された後に、白血病などで亡くなる方が多くなってきたとき、GHQが情報統制をおこない、被爆の被害をなるべく表面化しないようにするという描写だった。ヒロインの梛子に被爆の症状が出てくるが、周りの誰もがそのことを箝口令が敷かれたように口を紡いで、何も語ろうとしない。主人公の賢治はそのことに苦しむ。なぜなら、自分は米軍の所属だからだ。
ご覧になっていない方はぜひ、このノーベル平和賞発表の時期に見てみてほしい。ドラマのうち、原爆投下後の展開はとても考えさせられる深いものだ。
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以上のことがあって、私には被団協の苦労が手に取るようにわかる。「敗戦国」というレッテルはそんな形でも効力を示されてきたのだ。そういう意味でも、日本はずっとアメリカの支配下にあったと言える。原爆で亡くなった方々はずっと蹂躙し続けてこられたのだ。
世界で唯一の被爆国である日本、だからこそ世界から常に向けられてきた視線や、背負わされた「宿命」や「責任」があるはずだ。この国を担うはずの政治家たちにそういった意識を持ってほしいものだと思うが……いまのところそれも望めそうもない。

今回のノーベル平和賞の快挙で、本当の意味での「アメリカ支配下」からの脱却のきっかけになってゆくのか。政治家たちに期待ができないいま、それは次世代の若者たちに委ねるしかない

「テレビ東京公式HP」より

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