【新著からの先取り内容紹介!】電気自動車に隠された深刻な問題

以下、2024年1月11日に発売の拙著『混沌時代の新・テレビ論』からの先取り内容紹介。 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784591180297

テレビのニュースはよく環境問題を報じている。その際には、必ず「エコ」を強調する。
これはもちろん、番組提供スポンサー企業を気にしてのことだということは、もうすでにみなさんはおわかりだろう。
だが、このテレビが強調するエコにも「表と裏」があり、「隠されているもの」が存在することはご存じだろうか。
例えば、ニュースのコーナーでよく取り上げられるEV(電気自動車)である。
国際的なエコの風潮が高まり、ガソリン車に代わる選択肢としてEVへの移行が叫ばれている。特に、テレビの大手スポンサーである自動車メーカーのほとんどがEVに向いているため、テレビは「一大キャンペーン」のようにEV称賛の旗を掲げている。
そして、決してその負の部分を報道することはない。
本当にEVは「環境に優しい車」なのだろうか。
走行中に温暖化の原因と言われているCO2を排出しないという点はメリットだが、デメリットに関してはほとんど話題にされていない。EVはバッテリーで動くわけだが、そのバッテリーを充電するための電気は発電所で作られる。当然ながらその発電過程ではCO2が発生しているし、エネルギー変換時のロスも発生する。世界中を自由に走り回るガソリンやディーゼル車と違って、発電所で発生するCO2は1か所で集中的に回収しやすいという利点があるが、このバッテリーにはもうひとつ深刻な問題が隠されている。
リチウムイオン電池が使われているということだ。
この電池の製造には、大量のリチウムやコバルトを必要とする。
リチウムは「グローバルサウス」にあたる南米大陸のアンデス地域で多くが採掘される。
その際に大量の地下水を汲み出してしまうため、現地で農業や牧畜を営む人々を苦しめている。
私がドキュメンタリー番組でチリのアタカマ塩湖を取材したときには、現地の農民たちが「水がなくて困っている」と訴えかけてきた。
コバルトはこれもグローバルサウスのアフリカ・コンゴ民主共和国で大半が生産されるが、そこでは多くの子どもが手作業で採掘をおこなっている。もちろん、強制労働だ。コバルトの粉塵は深刻な呼吸器疾患を引き起こすため、子どもたちは命の危険にさらされながら日々作業をしている。
テレビではそんなニュースにはお目にかからないし、たまにトピックとして取り上げられたとしてもバッテリー生産をやめようと訴える内容ではない。
6歳ほどの子どもが得る賃金は、一日中炎天下で働いてもせいぜい数十円ほどだ。それでも食べていくために働かざるを得ない。
汗まみれの手のひらにぎゅっと握りしめた硬貨を私に自慢げに見せてくれたときの、子どもの笑顔が忘れられない。
2024年1月11日発売の拙著『混沌時代の新・テレビ論』より
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784591180297
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