【活動報告】五島列島のフィールドワーク研究から無事に帰京しました!

昨日31日㈯の夜に無事に五島列島から帰京した。何度も何度も飛行機の欠航が繰り返され、その度に予約を取り直すという行為に疲弊した。また、「やっと着くぞ」と安堵した羽田空港上空では、「着陸待機要請」が管制塔から来ているということで1時間近く待たされた。一瞬、ほかの空港に向かうのではとヒヤヒヤした。
今回のフィールドワーク研究は、先日のブログでも報告した「かくれキリシタン」に関するドキュメンタリー撮影である。その目的を改めて述べると、かくれキリシタンの子孫や末裔の方々にインタビューをしてその記憶や証言を映像に収めることだった。
そして現地でそれらをおこなってみて実感したのは、なかなか厳しい時代に入ったなぁということだ。それは時代や世代が変わり、「昔のことだから」となかなかすんなりとは口を開いてもらえないという難しさがあるということである。かくれキリシタンの子孫の方は以下の3つのケースに大別される。

1.いまも、かくれキリシタンである
2.先祖の時代にすでに、かくれキリシタンであることをやめている
3.親の時代までかくれキリシタンだったが、自分の代になってやめた

1.の場合には、かくれキリシタンであることを誇りに思っているため、話は聞きだしやすい。しかし、2.や3.の場合には「本当にかくれキリシタンの記憶がない」というものも含め、かくれキリシタンに対する一種の執着がないため、あまり積極的に話をしようとはしない。
そして今回は、台風10号という天候的な障害もあった。
だが、8人の方にインタビューをして話を聞くことができた。これは大きな成果であると感じている。特に今回は、カトリックの信徒の方からのかくれキリシタンに関する証言も得ることができた。そのインタビューによれば、昔はカトリック同士でないと結婚ができなかったため、相手がカトリックである場合にかくれキリシタンであることをやめた人が数多くいたとのことだった。
私はずっと「これほどまでに信仰心の強い(「マリア観音」や「オラショ」などの逸話を知れば知るほど)かくれキリシタンの人々がなぜ簡単にそれを捨てるのか」ということに関しては疑問を抱いていたが、この証言を聞いて「そうか!」と膝を打つ思いだった。
愛する人と一緒にいたい、そういった気持ちに勝るものはないだろう。異教徒間の結婚の問題は大きいのだと改めて感じた次第である。
ブログの紙面では紙幅が限られているため、書ききれない部分もあるが、今回の取材で大きく感じたのは、人の気持ちには多様性があるということだ。かくれキリシタンの時代から時が経ち、人々の想いや考え方にも変化が訪れている。そういった「時の流れ」といったようなことも、この研究でうまく救い上げられればと考えている。
続報を待たれたい。

マリア観音
「文化遺産オンライン」HPより
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/519265

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