【活動報告】東京新聞にコメント掲載――NHKニュース《ダッチアングル》騒動をどう見るか
東京新聞「こちら特報部」にコメントが掲載された。テーマは、NHKニュース番組で新政権の閣僚が首相官邸の階段を下りるシーンや、高市早苗首相の会見を「斜めの画角」で映したことがSNSで炎上した問題だ。
発端は、日本保守党の百田尚樹氏がXにニュース映像の画像4枚を投稿し、「これはダッチアングルと呼ばれる手法で、見る者に不安や緊張感を与える効果がある。意図的にやっているのは明らかで、極めて悪質な報道だ」と批判したこと。この投稿は5万7000回以上リポストされ、閲覧数は2100万回を超え、「印象操作だ」「NHKは解体すべきだ」といったコメントが殺到した。
ダッチアングルは映画やドラマで不安感を演出する際に使われる手法だ。しかし、今回のNHKニュース映像を全体で見る限り、悪意ある印象操作とは言えない。むしろ「発足したばかりの政権が前途多難である」というニュアンスを示唆する程度であり、首相の人格や政権を貶める意図は感じられない。
逆に、映像の一部を切り取り、あたかも全編が「斜め映像」で構成されているかのように拡散する行為こそ、印象操作ではないか。
ただし、NHKにも反省すべき点がある。それは、日本の視聴者の「映像リテラシー」に対する認識不足だ。欧米では、ニュースやドキュメンタリーは「事実+解釈」を含むものとして視聴され、メディアの立場や編集意図を理解する文化がある。一方、日本ではニュースを「客観的事実」とみなす傾向が強く、映像表現の工夫が誤解を招きやすい。
こうした文化的背景を踏まえれば、NHKは「斬新な映像手法」を使う際、視聴者がどう受け止めるかにもっと敏感であるべきだった。
同時に、視聴者側にも課題がある。今回のように、特定の人物の指摘を鵜呑みにせず、自分の目で映像を確認し、「その意図は何か」を考える姿勢が必要だ。情報の送り手と受け手、双方に求められるのは、こうした「リテラシー能力」だ。
今回の騒動は、私たちにその重要性を改めて突きつけた。
「産経ニュース」HPより


