【自分のなかの「小さな気づき」】エスカレーターのマナーについて考えてみた~気持ちに「ゆとり」が生まれた5日間
オーケーストアーの東伏見店(東京都西東京市)で、下りエスカレーターを利用した80代の女性が首を挟まれた状態で見つかり、亡くなった事故は記憶に新しい。エスカレーター利用時に転倒し、それが死につながるという同様の事故は、今年3月にJR水戸駅でも発生している。そのためエスカレーターの利用に関しては、立ち止まって手すりにつかまって利用するようにとの呼びかけが鉄道事業者などでも強化されている。日本エレベーター協会は「本来、エスカレーターは立ち止まって乗ることを前提に設計されている」と話す。
エスカレーターの標準的な勾配は30度で公共の階段よりも急だ。ステップの高さや奥行きも大きいのでつまずきやすい。ステップの幅は1.1メートル以下。1.4メートル以上とされる公共の階段よりも狭く、追い越しは想定していない。
私は腰を椎間板ヘルニアで患い、手術をしたため(腰に巨大なチタンが埋め込まれている。「サイボーグ」さながらだ)、なるべく歩くように医者からも勧められていたため、ずっとエスカレーターを使わなかった。鉄道の乗り換えの際にも、どんなに長い登りの(大江戸線六本木駅のような)階段でも、頑張って歩くようにしていた。しかし、近年、足底筋膜炎からくる「踵骨棘(しょうこつきょく)」を発症し、逆に「歩き過ぎは良くない」ということになってしまった。そのため、エスカレーターを利用するようになった。
そうすると、どうしても左側に立っている人の右側を駆け下りたり、駆け上ったりしてしまうのだ。理由は3つだ。
1.生来、「せっかち」な性格であること
2.「時間がもったいない」と思ってしまうこと
3.「少しでも運動をした方がいいかな」と思ってしまうこと
でも、今回のオーケーの事故を知って、「他人事ではないな」と思うようになった。そして事故の翌日13日から、「我慢して」駅のエスカレーターで歩くのをやめた。するとどうだろう。
気持ちにゆとりができたのである。
私は子どもたちや妻からも「いつも忙しそうにしてるね」と言われるほど、「忙しぶりっこ」だ。前職のテレビ局時代からいつも何かに追い立てられているように感じていた。「早くやらねば!」と思い込んでいた。でも、エスカレーターで歩いて急いでも、たかが1本早い電車に乗れるくらいのものだ。そう思えるようになると、なんだか気が楽になり、優雅な気持ちにさえなってきたのだ。
単純と言えば単純だが(もともと、単細胞の人間なので)、エスカレーターのマナーを守ったことで得られた副産物にちょっと得をしたような気がした。
エスカレーターでは「ついつい歩いてしまう」という方も、試してみてはどうだろうか。
「公益社団法人 東京都理学療法士協会」HPより
https://www.pttokyo.net/info/2019/03/10038.html