日テレSPドラマ『テレビ報道記者』を「放映しちゃダメだよね」という人たちに言いたい

日本テレビで先日放送した開局70年記念スペシャルドラマ『テレビ報道記者~ニュースをつないだ女たち~』に批判の声があがっている。

それはドラマ『セクシー田中さん』問題が関係している。原因究明と再発防止のために日テレの社内特別調査チームが調査開始をしたばかりのタイミングに、日テレの報道機関としての矜持や意義を訴えるようなドラマが放送されたからだ。ネットやSNSには批判的な意見が寄せられて大荒れになっている。その主なものは、「タイミングが悪い」「セクシー田中さん問題が解決していないのに、こういうドラマは放映しちゃダメだ」「現状を軽く考えすぎているのではないか?」というものだ。

私はこの状況を危惧している。
視聴者が批判したい気持ちもわかる。しかし、これでは同じ轍を踏もうとしているようなものだ。私がプレジデントオンラインの記事でも指摘したように『セクシー田中さん』問題のおりに原作者の芦原氏を死に追いやったのは、ネットの中傷記事(正確には『セクシー田中さん』の原作のファンが脚本家のブログの記述をバッシングしたもの)である可能性があるからだ。
しかも、日テレは調査員会を立ち上げ、現在調査中である。もし仮に何もやっていないのであれば「現状を軽く考えすぎているのではないか?」と非難されても仕方ないと思うが、そうではない。

ドラマ『セクシー田中さん』の問題と今回のドラマ『テレビ報道記者』は同じ局で放送しているというだけでまったく関係ない話だ。何でもかんでも一緒にして他者を攻撃するような行為は慎むべきである。まったく懲りない人たちがいるものだと呆れてしまった。

『テレビ報道記者』は丁寧に作られているドラマだった。
時代が行ったり来たりする手法は斬新だが、私的にはあまり好きではない。だが、偏見や先入観、固定観念と闘いながら「真実を報道しようとする」女性たちが時代を超えているのだということは伝わってきた。
また、見終わってあまり「頑張ろう」という気持ちにはならなかった。「昔もいまも制作現場の状況はあまり変わっていないな」というのが感想だった。だが、それが事実なだけに、それを超えようとすることがいつの時代においても大事なのだということは感じることができた。少々「手前味噌」なところが鼻につくが、「真摯な姿勢」で作られていたことは評価したい。

そのうえで、最後に苦言を呈しておきたい。国際女性デーに合わせたタイミングの放送だったのだろうが、なぜここまで「女性」を前面に押し出さなければならなかったのか。女性のエンパワーメントを描きたかったのはわかるが、あまりにもステレオタイプの枠組みに、見ているこちらが気恥ずかしい気持ちになってしまった。

「日本テレビ番組HP」より

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