【今日の新聞から】郵便料金値上げで遠のく「手紙文化」
平安時代には、貴族や公家たちの間で詩や文章を交換し合う文通が流行った。江戸時代になるとそれは、庶民層にも広がった。このように、日本には古くから「手紙文化」がある。私が中学生の頃には「ペンパル」という言葉が流行って、文通相手を探す専門の雑誌があり、私は日本中の同世代の人と文通をするのが楽しみだった。高校になると、好きな人や気になる相手に手紙を送っていた。手紙は身近な存在だった。
郵便料金の値上げが発表された。封書は110円、葉書は85円に。一気に値上がった感じがする。封書の値上げはなんと30年ぶりだという。言うまでもなく理由は2つ。手紙を出す人が減ったことと人件費の高騰だ。昨年度は2001年度に比べて郵便物の取り扱いがほぼ「半減」した。半減は痛い。日本郵便の郵便事業は採算が悪化している。だから値上げをせざるを得ないという気持ちもわからなくもない。
しかし、今回の値上げはさらなる手紙離れを招くのではないかと懸念する。「高いから出さない、メールでいいや」というように若者たちは思ってしまうだろう。84円から110円への値上げは1.6倍、30%の値上げだ。もう少し段階的な値上げができなかったのか。それほどまでに日本郵便の台所事情が苦しいということなのか。
もう一点、私が思ったのは「単に値上げをするだけでなく、何かプロモーション的な施策も同時に打ち出すべきだったのではないか」ということだ。ありきたりではあるが、「手紙を出して、レアな日本各地の物産品を当てよう!」というキャンペーンをおこなうとか、手紙好きの芸能人にお願いして「田舎の家族に手紙を出そう!大賞」というイベントをやるとか、アイデアはなかったのかと悔やまれる。
ただ「苦しいから値上げします」というだけだと、国民に理解は得られないのではないか?
こういったところに国営時代の〝親方日の丸的な〟考え方があると思ってしまうのは、私だけだろうか?