【今日の新聞から】自己表現によって「不可能を可能にする」素晴らしき人々~菜桜とシェルビン・ハジプール
ダウン症のあるモデルとして活躍する菜桜(なお)氏が、パリコレでゲスト出演を果たした。素晴らしいことだ。
ダウン症を抱えていると筋力が弱いため、まっすぐな姿勢を保って歩くことが難しい。だが、菜桜氏は障害者が通う就労継続支援事業所に行きながら、独自にウォーキングレッスンを重ねたという。その粘り強さと頑張りに喝采を送りたい。そしてそれを支えた周りの人々や親御さんなどのご家族にもエールを送りたい。
人はひとりでは生きていけない。特に障害を抱える人の場合には、周囲の理解と助けがあるかどうかでその人の人生が大きく変わる。
時には、それらの援助がないために、悪い方向に向かう場合もあるだろう。だが、この菜桜氏のケースは本人の努力もさながら、周りの環境が良かったと感じた。
しかし、周りの環境に恵まれない人の場合は、本当に気の毒だ。
イラン人歌手シェルビン・ハジプール氏はヘジャブの着用矯正に抗議する曲「バライェ」を発表して、昨年グラミー賞の特別賞「社会を変えた最優秀賞」を受賞した。そのことに対して、デモを扇動したなど反体制的な宣言をした罪で自国から禁固刑3年8カ月を受けた。判決は同時に「イスラムにおける女性の権利」についての本を読み要約することや「米国の人道犯罪」に関する楽曲の制作を命じたという。
アーティストに対して一定の思想の楽曲の制作、しかもあたかもアメリカを攻撃するような発信を強制するなどとはいかにも冒涜だ。「イスラムには表現の権利がない」も同然ということを証明したようなものだ。愚かな判決だ。と同時に、そんな環境の中で闘っているハジプール氏にもエールを送りたい。
負けないでほしい。と同時に、同じ世界の、全く違う社会で生きている私たちからも声を上げられることもあるのではないだろうか。
パリコレに出演した菜桜氏
「Yahoo!ニュース」より
「TBS NEWS DIG」より