【今日の新聞から】埼玉県営プールで〝性的な〟水着女性撮影会を開くことに関する議論の「ズレ」

埼玉県の県営プールで業者が開く水着女性の撮影会についての新ルールが物議を醸している。

過激なポーズや露出の多い水着で撮影がおこなわれていたことへ、県公園緑地協会が待ったをかけたかたちとなった。NG項目を列挙した内容に「そこまでやるの?」「それはOKで、これはNGなの?」など〝不思議な〟線引きが見られることや、「ここまで規制するなら認めなければいいではないか」という意見も出ている。
☛「埼玉県営水上公園における水着撮影会 開催の手引き」
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.parks.or.jp/association/association_news/files/5854/005854/att_0000002.pdf

私も同感だ。
上に掲載した「埼玉県営水上公園における水着撮影会 開催の手引き」を見てみると、P3の「第3章 出演者の服装等について」はまだしも、P7の「第4章 出演者のポーズについて」に至っては、見ているこちらが恥ずかしくなるような絵の解説や記述が目立ち、「ほっといてくれ!」と叫びたくなった。

しかし、こういった規制の裏側にも事情があることを見抜かなければならない。この撮影会は外部の業者によって仕切られている。そしてその収入はかなりのものだ。県公園緑地協会によると、2022年までの5年間で県営プールで開かれた撮影会はおよそ120回。その収入は、合計すると5,000万円から1億円に至るという。

それはその収入源を失いたくない気持ちはわかる。
だが、「こういった撮影会を県営という公的な施設でおこなうべきではない」という議論の前に考えなければならないことがあるだろう。
「埼玉県営水上公園における水着撮影会 開催の手引き」のP7「第4章 出演者のポーズについて」の記述からもわかるように、この撮影会は女性を「性的な対象」にしている。そのことの方が問題だと私は考える。

いま繰り広げられている議論の論点はまったく「ズレ」ていると指摘せざるを得ない。
こういった「論点のすり替え」は私たちの知らないうちに、巧妙におこなわれる。注意が必要だ。

「朝日新聞デジタル」より

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