【今日の新聞から】鹿児島県警情報漏えい事件の逮捕はニュースサイト「強制捜査」がきっかけに……「原理原則破った」と言う識者の見解に関して私が言いたいこと
前鹿児島県警生活安全部長の本田尚志容疑者が国家公務員法違反の疑いで逮捕された事件は、県警が別の情報漏えい事件の捜索で、関係先としてニュースサイトを運営する福岡市の男性の自宅を捜索して、その際に本田容疑者が外部に郵送した文書の画像データを見つけたことがきっかけとなった。本田容疑者は退職直後の3月28日ごろ、職務上知り得た個人情報を含む県警の不祥事をまとめた文書を札幌市のライターに郵送した。そのライターは4月3日に届いたその文書を同日中にニュースサイトを運営する男性に画像データ化して送ったという。
この事件について、報道関係者に対する強制捜査だとして、識者たちが「報道の自由を重視する民主主義の原理原則を破っている」「あり得ない」としている。この事件のポイントは、まったく別の事件の捜査であったということだ。ほかの捜査で見つけた証拠で逮捕ができてしまうと大変なことだというのである。もちろん、大前提として「報道機関であるメディアに強制捜査に入った」という行為自体が問題であることは言うまでもない。この手法がまかり通ってしまうと、「報道の自由」が損なわれるばかりか、「取材源の秘匿」もできなくなり、メディア・コントロールが横行する。そして最終的にメディアが委縮をして、自己規制を始めるということにもなりかねない。そんなことになると国民の「知る権利」は侵害される。
以上の「原理原則」はもっともなことだ。そのうえで、私は識者の方々に言いたい。
原理原則はもちろん、わかっているし守らなければならない。だが、なぜそんなわかり切ったルール違反をしてまで警察は今回の強制捜査に踏み切ったのか、もしくは踏み切らざるを得なかったのか、ということを突き詰めるべきではないか。
「違反」を「けしからん!」と言うことや民主主義論を振りかざすことも大事だが、起こった問題のその先、いわゆる「原因究明」という「なぜ」という部分に関する見識を聞きたい。
それこそ、真の意味で「報道の自由」と「民主主義の原理原則」を守るということなのではないだろうか。そしてそこまで追求してゆかないと、また同じような事件が起こるのではないかと危惧している。
「TBS NEWS DIG」より