【今日の新聞から】大分県の小さな町が霊園建設計画で揺れている!「墓」から見えてくる日本の「移民」排除の考え方ーこのままだと日本が「棄国」になる……

今日の新聞には、大分県日出町という人口2万7千人の小さな町で起こっている「墓」に関する騒動に関する社説が載っていた。霊園の建設計画で揺れているという。その霊園がイスラム教徒(ムスリム)専用だったからである。イスラム教は「火葬は神の大権」との教義から土葬をおこなっている。そのためある宗教法人がこの町の土地を買い取って霊園を作ろうとしたところ、近隣住民の猛反対にあった。この根底には、ムスリムの人々を「移民」として排除しようという考え方がある。
もちろん、現地の人々の不安な気持ちもわからなくもない。田舎の先祖代々の土地で暮らしてきた地域住民にとっては「よそ者」が入り込むことに恐怖を抱かんでもないだろう。しかし、いまはそういうこと言っている時代でも場合でもない。このままだと、日本全体が「棄国」になるだろう。労働力に関してもこれまでのように、アジアの人々を「安価の使い捨て労働力」として考えていたら、韓国や台湾との人材獲得競争に負けるだろう。
だが、そんな気持ちになる住民を責めることはできない。悪いのは、そんな住民の不安を解消しようとしない自治体や国である。

大学の現場でもその傾向は顕著だ。日本に留学をしているアジアの学生たちは、卒業しても賃金が安い日本では働かない。その優秀な人材は欧米諸国やアジアの他の国に流れている。岸田首相は「移民政策を採る考えはない」と後ろ向きな姿勢を示しているが、これも今の時流にまったく乗っていない愚策である。
日本では生産年齢人口の減少が続いている。経済や社会サービスの維持には外国人との共生は不可欠だ。異文化に対する国民や住民に対する理解を求め、その不安を解消してゆくのが国の役目ではないか。国や地方自治体はどう考えているのか、聞いてみたいものだ。

「東京新聞デジタル」より

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