【今日の新聞から】3つの記事の「その先」を読むー見えている事象から世の中を看破する「疑問ノート」活用術
今日の新聞は3つの記事に注目した。そしてその3つの記事の「その先」を読むことの大切さを指摘したい。
一つ目は、首都高のうえに「ふた」をして、公園などの住民の憩いの空間を作るという試みについての記事だ。もちろん、このことはいいことだ。記事も〝肯定的に〟書かれている。
しかし、私はこの記事から「その先」を考えてみた。耐震はどのようにおこなわれるのか、という課題についてだ。当然、首都高は空洞化する。リニアモーターカーの前例もある。地盤沈下なども心配だ。大震災などの際に、高速道路が陥没し、大事故に発展しないかと記事を読んだ瞬間に危惧した。そういったことを考える読者もいるのではないか。その点を区の担当者などはどう考えているのかという取材もしてほしかった。
二つ目は、1992年に国連地球サミットで「伝説のスピーチ」をしたセヴァン・スズキ氏の記事だ。セヴァン氏は「直し方のわからないものを壊し続けるのはやめて」と私たち大人に問いかけた9歳として、当時有名になった。大事なのは「その先」だ。
スズキ氏から26年経って、2018年にグレタ・トゥーンベリ氏が国連気候変動会議で演説をして一躍有名になったのは記憶に新しいだろう。だが、大事なのはスズキ氏のスピーチからトゥーンベリ氏の演説までの26年間、状況は変わっていないということだ。むしろ、悪化している。私たち大人は26年間何をやっていたのか。反省すべきだろう。
三つめは、自民党総裁選を前に高まっている「政策活動費廃止」に関する記事だ。小泉進次郎元環境相が「政策活動費廃止」を明言していることに触れていた。「政策活動費」とは、政党から議員個人に支出され、使途を明かす義務のない活動費のことを指す。
第4次安倍再改造内閣で初入閣した際の保有資産公開によれば、小泉氏の総資産は麻生氏に次いで多かった。曾祖父・小泉又次郎氏から4世代にわたって続く政治家の家系に育ち、母はエスエス製薬創業者の家系である。当然、裕福な一族だ。カネなくして政治はできない。「政策活動費廃止」の主張の「その先」を読めば、小泉氏には「政策活動費」など不要なほどの後ろ盾があると考えていいだろう。
そしてこういった「新聞記事のその先」にある疑問をノートに綴ってゆく学習法を提唱したい。これは「疑問ノート」と呼んでいるもので、私がドキュメンタリーを制作していたときに活用していた方法だ。何でも疑問に感じたことをノートに書きこんでゆく。答えがあるもの、ないものがあるだろう。答えが出ないこともある。それでもいい。「疑問に思うこと」それを「ノートや記憶にとどめておくこと」が大切なのだ。
*以下の写真は、私の取材時の「疑問ノート」、通称「デブノート」