【今日の新聞から】中国語放送問題を受けて、NHK担当理事が引責辞任ーネット配信を控えて「待ったなし」のNHKの事情
今朝の新聞には、NHKのラジオ国際放送などの中国語のニュースで中国籍のスタッフが沖縄県・尖閣諸島を「中国の領土」と原稿にない発言をした問題で、NHKの放送担当理事が引責辞任をするというニュースが載っていた。
記者会見で稲葉延雄会長は「『放送の乗っ取り』とも言える深刻な事態」と述べた。番組スタッフやアナウンサーが自分の意見だけを番組で述べ始めたら大変なことになる。とくに、公共放送であるべきNHKでは許されることではない。もちろん、民放においてもそれは同じだ。だが、そのことで放送担当の理事が責任を取って辞任をするというのは、少々、過敏な反応のようにも思える
しかし、ここにはいまNHKがおかれている状況に関するある事情が隠されている。
今年の5月17日、NHKがインターネットを通じて番組などを提供することを必須業務とする改正放送法が成立した。これによって、ネットの視聴者からも受信料を徴収できることになる。NHKの稲葉会長はその後の会見で「放送を主な業務としてきたNHKにとっては、まさに歴史的な転換点を迎えるということになる」と発言している。そんなタイミングで起こった中国語放送問題は、看過できないものだったに違いない。2025年度後半からの開始に向けて準備を進めているネット配信の必須業務に支障が出るからだ。平たく言えば、地上波の受信料においても不払いの人がいる状況のなか、さらに配信の受信料も徴収しなければならないのに、今回の問題を理由に「けしからんNHKには払いたくない」という声があがるのを恐れているのだ。
NHKは「待ったなし」の状況に追い込まれている。だが、ここで苦言を呈しておきたい。
慎重になるのはいいが、それが「制作現場の締め付け」という形でしわ寄せが生じるのは避けなければならない。
「テレ東BIZ」HPより