【今日の新聞から】渋谷のハロウィーン騒動~「来ないで」実らず2割増と嘆くが、その考えは果たしてどうなのか?
「来ないで」と異例の呼びかけをした今年の渋谷の繁華街のハロウィーン。私個人的には、大きなトラブルがなかったことはほっと胸をなでおろした。だが、新聞などの報道では「呼びかけにもかかわらず、2割増」だったとして、「オーバーツーリズム(観光公害)」を訴えていると述べている。
私はこのハロウィーン騒動に関しては少し違う考え方をしている。もちろん、訪れた人がごみを捨ててゆくマナーの悪さ、そしてこのごみの処理に莫大な費用がかかるという問題はあるだろう。しかし、これは訪れる側が良識ある行動をしなければならないという別の次元の問題だ。
インバウンド景気に大きく依存するいまの日本。2018年に訪日外国人旅行者が3,000万人を突破して以来、その消費額は約4.5兆円と我が国の経済に与える影響がますます大きくなっている。そんななか、政府は2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人まで増加させる目標を掲げている。
その一方で、仮装した来日客である外国人が多いハロウィーンに「来るな」というのは、矛盾していないか。「来るな」と言われると行きたくなるのも人間の心情だ。
そして、私はこのハロウィーンに関してはもうひとつの大きな問題が潜在していると考えている。
それは若者に対する対応である。
確かに、ハロウィーンで暴動のような事件にまで発展するのは行き過ぎだ。だが、若者たちに「ハロウィーンに行くな」と規制をかけてしまってよいのだろうか。大人が一方的に「ダメ」と言って制限してしまうことが、かえって若者たちの考える力やリテラシーの涵養を妨げるのではないかと懸念している。
若いうちに大切なのはとにかく「経験」だ。犯罪行為まで経験せよと言っているのではない。だが、いろいろな経験をしてそのなかから「良いもの、良くないもの」「良いこと、良くないこと」を選ぶ力を身につけてゆくのだと私は考えている。
多少の間違いや過ちはあるだろう。「ああいうことをしてしまったけど、いけなかったな」そういった自浄作用はいまの若者たちのなかには充分にある。そう信じている。
そろそろ大人は、若者に「ハロウィーンに行くな」と言うのをやめてみたらどうだろうか。
「TBS NEWS DIG」より