【今日のタブチ】「スキマバイト」の闇に挑む記者の心意気~私が「体当たりルポ」に危惧することは何か?

今朝の新聞には、記者が「スキマバイト」の闇に挑むべく、新聞記者が自ら応募して体験してみるという企画記事が載っていた。
以前このブログで、「仮装身分捜査」という警察官が闇バイトを摘発する捜査方法に対する危惧を述べたが、こちらの記者の「体当たりルポ」にも「危なそうだなぁ」という危惧は抱きながらも、そのプロ根性と心意気に拍手を送っている。
「スキマバイト」とはご存じのように、スマホのアプリを使って空いた時間に履歴書も面接もなしに仕事ができるというシステムだ。多くの人材派遣会社がアプリを使って活用しているが、闇バイトやブラックバイトにつながることがあると問題化している。
記事では、実際に記者があるアプリを利用して「スタンバイバイト」の就業場所に向かい、待機した様子がルポとして報告されている。その記者は結局、待機だけでバイト先に派遣されることはなかったが、「スタンバイだけで終わればおいしい」など、その場にいた人々へのインタビューは圧巻だった。もっとこういった現場の声を聴きたいと思った。と同時に、こういったスキマバイトが結局どういったバント先につながっているのかという事例が記事にはなかったため、その実例の調査を引き続き期待したい。
そしてその反面、こういった体当たりルポの危険性も考えなければならないと感じた。
私もドキュメンタリーをやっているときに、どうしても「視聴者が知りたいのではないか」と思い、必要以上に取材先や取材相手に突っ込んでいったり、「取材者の知る権利」を振りかざして相手や周りの迷惑や気持ちを考えずに行動していたことがあった。
記者に願いたいのは、以下の2つである。

1.まずは自身の「安全の確保」だ。命や身体の危険があっては元も子もない。
2.それから「取材先への配慮」だ。取材先が必ずしも非難される相手とは限らない。プライバシーや個人情報保護に抵触してしまうことがあることを理解しながら行動しなければならないだろう。

以上の願いはあるとはいえ、とにかく「メディアの矜持」を見たいと思ってしまうのは、私にまだ「メディア魂」の欠片が残っているということなのだろうか。そんなふうに実感した朝であった。

「東京新聞Web」より

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