【今日のタブチ】〝思いつき〟大統領令の「矛盾」~「独裁者」に率いられる大国アメリカの未来を憂う
就任初日の1月20日、トランプ大統領によって「アメリカ第一」を掲げる大統領令が発令された。
40本以上の大統領令には、本人も訳がわからなくなっているのではないかと思ってしまうような「矛盾」も見受けられる。その矛盾に気がつかない(もしくは、気がついても無視しているという「確信犯」か、こちらの方が可能性が高い気がするが)「独裁者」に率いられることになる大国の未来を憂いてしまうのは、私だけではないだろう。
数多い「矛盾」のなかで、私が看過できないと感じたのは、2つだ。
一つ目は、「死刑」を推進する一方で、2021年の議会襲撃事件に関与した受刑者などを恩赦・減刑するというものだ。これは理解できない。もちろん、両者は別問題ではあるが、同じ人間の思考とは思えない。また、この〝気軽な〟かつ〝大量の〟恩赦・減刑はアメリカの司法制度を揺るがせる「とんでもない蛮行」であり、司法への冒涜や侮辱であると指摘したい。
もう一つは、多くの報道で指摘されているように「政府が認める性別は男性と女性だけ」や「多様性・公平性・包括性政策の終了」における矛盾である。
トランプ大統領は閣僚に〝多様な〟人物を起用している。政府効率化省の共同議長に指名されているイーロン・マスク氏は、実業家としての経験が豊富でスペースXやテスラなどの企業を成功させてきたが、政治の世界での経験はない。国防長官に指名されたピート・ヘグセス氏は、元FOXニュースのキャスターだが、政府関連の要職経験はない。農務長官に指名されたブルック・ロリンズ氏は、保守系シンクタンクの所長を務めていたが、彼女も政治経験はない。
政策にもユニークで〝多様な〟アイデアを起用してきたことは自他ともに認めるところだろう。
そういったこれまでの実績や方針と今回の大統領令の「多様性・公平性・包括性政策の終了」は矛盾しないか。ひいては自身のこれまでのポリシーに反するのではないかと懸念する。
いまは「独裁者になる」ことで頭がいっぱいだろう。「アメリカ」という大きな影響力を持つ大国を率いる自覚を思い起こし、「健全なリーダーとなる」ことを願う。
「BBC NEWS JAPAN」HPより