【今日のタブチ】サイバー防御法案が閣議決定した~私が憲法で保障されている「通信の秘密」に関連して懸念する「監視社会」誕生

日本政府は7日の閣議で、電気や鉄道などのインフラ、放送や金融などの15業種の「基幹インフラ事業者」への重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を導入するための関連法案(いわゆる「サイバー防御法案」)を決定し、衆院に提出した。憲法が保障する「通信の秘密」に最大限配慮したうえで、警察や自衛隊による通信情報の取得・分析や、攻撃元サーバーへの侵入・無害化措置などを可能とするものだ。日本のサイバー防衛を欧米主要国と同等以上に抜本的に強化するという目的がある。
このこと自体は、ネット社会、情報社会において必要不可欠な措置だと考える。しかし、私はこの法案においては「通信の秘密」に関して大き3つの点で懸念を抱いている。

1.国民のプライバシーがどのように保護されるのか
2.冤罪を生み出す可能性があるのではないか
3.「表現の自由」に抵触しないか

憲法第21条で保障されている「通信の秘密」とは、個人が秘密のうちに通信を行うことができる権利である。政府が平時からサイバー空間を監視し、当事者の許可がなくてもすべての情報を得ることができるとするこの法案には、「監視社会」を生み出す危険性があると指摘したい。
また、通信情報の監視によって誤解や誤った判断が生じ、サイバー攻撃ではない場合にもそうみなされてしまう可能性がある。さらにその選別をAIなどに任せてしまうと、AIやコンピュータが「犯罪行為を判別する」という恐ろしい事態に陥る可能性がある
そしてそれらがおこなわれることで、国民間に委縮ムードが蔓延し、「表現の自由」が損なわれる恐れがある
では、それを防ぐにはどうすればよいか。

法案の成立を請求におこなうのではなく、徹底的な議論と検証をおこなうべきだ
いまの議論で十分か、サイバー安保担当大臣はしっかりと判断しなければならない。サイバー攻撃は日進月歩である。日々の闘いのなかにある可及的速やかに対応すべき案件だ。しかし、サイバー攻撃を防ぐことだけが大臣の役目ではない。まずは国民の権利を守るべきだ。国民の権利が侵害され、「監視社会」となっては本末転倒だろう。
さまざまなジャンルのアドバイザーを集め、早急に議論をするべきだ。そこには政府側の人間だけではなく、基幹インフラ事業者となっている、電気、水道、ガス、石油、港湾、空港。放送、金融などの専門家を漏れなく集めなければならない。
急がなければならないが、一足飛びにしてはいけない。悪法は成立してしまえば撤廃するのに労力を要する。
焦りは禁物だ。

「TBS NEWS DIG」より

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