【今日のタブチ】日系アメリカ人を隔離したマンザナール収容所の再来⁉~トランプ政権は「負の歴史」を繰り返すのか?
山崎豊子氏の名作に『二つの祖国』がある。私は2019年3月にテレビ東京開局55周年特別企画として、主演に小栗旬氏を迎えてこの小説をドラマ化した。だからとても思い入れがある。また制作に際しては、当時の日系アメリカ人の状況や歴史的背景を学んだ。
『二つの祖国』は第二次世界大戦の戦前、戦中、戦後にわたる日系アメリカ人のアイデンティティの葛藤や、戦争による人間関係の変化、そして歴史の中での個人の選択と運命を描いている。山崎氏は、300人以上の実在の人物への面接と膨大な資料調査を基に、この作品を5年かけて執筆した。それほど、重要かつ大きなテーマであり問題なのだ。
戦前はアメリカ社会に溶け込み、アメリカ人として暮らしていた日系1世や2世たちは、第二次世界大戦が勃発して日本がアメリカの敵国になると、とたんに「敵国人」として収容所に隔離されてしまう。
マンザナール収容所は、彼らが強制収容された場所の一つで、カリフォルニア州に位置していた。一時期は、およそ11,000人もの日系アメリカ人が砂漠に掘っ立て小屋のような簡素な場所に押し込められていた。
そんな「負の歴史」が繰り返されようとしている。トランプ政権の「不法移民の大量送還」「ムスリム入国禁止令の復活」「出生地主義による市民権の廃止」などの移民政策や一部の行動によってその懸念が膨らんでいるためだ。
同じ過ちを繰り返さないためには、歴史を学び、過去の出来事を正しく理解し、現代の政策に反映させることが重要だ。マンザナール収容所のような悲劇を二度と繰り返さないために、私たちは歴史から学び続ける必要がある。
そしてトランプ氏にもちゃんと学んでほしいと願っている。
1942年当時ののマンザナー収容所
ドロシア・ラング撮影