【今日のタブチ】「ホワイトナイト」としてフジテレビを救った北尾吉孝氏がフジの人事案に物申す~メディアは投資対象ではない!「会社経営」に携わる者の「品格」とは何か?

20年前、堀江貴文氏率いる旧ライブドアがフジテレビと争ったニッポン放送買収事件で、「ホワイトナイト(白馬の騎士)」としてフジテレビを救ったのは、実業家の北尾吉孝氏であった。「ホワイトナイト」とは、敵対的買収を仕掛けられた企業が、友好的な企業に買収または合併してもらうことで敵対的な買収から自社を守るという買収防衛策のことだ。まるで白馬の騎士が敵から身を守るように、友好的な企業が敵対的な買収者に対抗するイメージから、この名で呼ばれているのは皆さんも周知のとおりだ。
そしてこの北尾氏が今度は、FMH(フジ・メディア・ホールディングス)が発表したフジの取締役人事案の見直しを求めている。日枝氏の息のかかった取締役がいると信用を取り戻すには不十分で、再生には程遠いと主張している。
この意見はもっともだ。だが、私は違和感と危惧を抱いている。
それはなぜか? 理由は2つある。
1.どうしても「パフォーマンス」に見えてしまうということ
2.「会社経営」の「品格」とは何かと疑問に思うということ

1.だが、「堀江君には悪いことをした」と言って堀江氏を持ち上げてみたり、フジ側が自分の提案に反対するなら「受けて立つ」と言ってみたり、米投資ファンドが北尾氏を取締役として推していることを取り上げ「報酬をもらうつもりはない」とアピールしてみたりと、どうも〝派手な〟パフォーマンスが目立つ。
そして2.だが、何より当時、日枝氏を救ったのは北尾氏ではないのか。それは「間違いだった」とも述べているが、そういった自らの失策を棚に上げて、今度はその相手を攻撃するということに関しては、「どうなのか?」と感じてしまうのが正直な気持ちだ。「会社経営」はゲームなのか。前回のことがあるから、今回は控えるといった謙虚さや潔さはないのか。そのときの気持ちや勢いで動いているように思えて、経営者としての「品格」というものが感じられず、それが私の違和感と危惧につながっている。
まさか、「騎士」を気取っているわけでもなかろう。私は気にし過ぎなのだろうか……フジの状況を鑑みれば、そんな悠長なことを言っている場合ではないということなのかもしれないが、メディアは投資の対象や経営の手段であってはならないと思うのは私だけだろうか。

「東京新聞 TOKYOWeb」より

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