【今日のタブチ】ローマ教皇フランシスコ死去~後継者選びの「コンクラーベ(教皇選挙)」にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマの「転生制度」を思う

ローマ教皇フランシスコの死去に伴い「コンクラーベ(教皇選挙)」がおこなわれる。この「コンクラーベ」の背後にあるさまざまな思惑や駆け引きについてはアカデミー賞の映画にもなった。
そして私は、今回の「コンクラーベ」に際して、20代から30代にその魅力の虜になりよく訪れていたチベットの「転生制度」を思い起こした。
チベットでは、観音菩薩の生まれ変わりとされている「ダライ・ラマ」を含む活仏の後継者選びは、チベット仏教の輪廻(りんね)観に基づいておこなわれる。活仏は死後、教義に沿った生まれ変わりの「転生霊童」探しで後継者が選定される。
そしてこの転生制度は、チベット問題の行方に直結している。
ダライ・ラマと並び称せられる「パンチェン・ラマ」は弥勒菩薩の化身とされている。このパンチェン・ラマ10世が1989年に死去した際に、中国側はパンチェン・ラマ11世を探し出し正式に認定したが、ダライ・ラマ側が選んだ別の少年は行方不明となった。現在、89歳と高齢のダライ・ラマ14世の後継を中国政府主導で選定することに躍起になっている。たまりかねたダライ・ラマ14世が「チベット仏教の転生制度を廃止すべきだ」と述べるなど、この問題は混乱を極めている。
私は1994年にダライ・ラマ14世に会い、インタビューをした。そのときの神々しい、しかし同時に非常に親しみのある人柄をいまでも思い出す。
このように「宗教的指導者の選定」は、〝伝統的〟で〝神聖〟かつ〝霊的〟な要素を持つため、さまざまな者たちや国家の思惑に左右される。今回の「コンクラーベ(教皇選挙)」においても、そんな危惧を抱いている。
人々の信仰に政治が介入する……本来はあってはならないことだ

「ダライ・ラマ法王日本代表部事務所」HPより

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