【今日のタブチ】内閣府調査の結果「スマホ使用が長いほど『孤独感』」に隠された現実~「孤独」と「孤立」は違う、本当にヤバいのは「孤立」だ
内閣府が、孤独や孤立の実態把握につなげる「人々のつながりに関する基礎調査(2024年)」の結果を公表したという記事を読んだ。
その調査の結果、孤独感が「ある」とした人は約4割と前年調査からほぼ横ばいだったものの、スマートフォンの使用時間(1日当たりの平均)が長い人ほど、孤独を感じやすい傾向にあることが判明したという。使用時間が8時間以上では、孤独感が「ある」が5割を超えた。年齢別では20代~50代でいずれも4割を超えたという。孤独だからスマホを見る時間が長くなるのか、スマホばかり見ているから孤独に感じるのか……。
私はかつて、日テレの「NNNドキュメント」で『高齢初犯』に関するドキュメンタリーを制作した。そのときに「法律監修」を務めてくれた、友人で法学者・慶應義塾大学教授の太田達也氏が言っていたことを思い出した。
「『孤独』と『孤立』は違う。本当にヤバいのは『孤立』状態にあることだ」
孤独は、寂しいというような〝主観的な〟「感情」のことである。一方、孤立は、〝客観的な〟他者とのつながりが少ない「状態」を指す。もちろん、両者の間には関係があり、孤独を感じている人は孤立していることが多く、孤立している人は孤独を抱えやすいという特徴がある。
しかし、必ずしも両者が常に関連しているとは限らない。孤独の感情は一時的かもしれないし、周囲から孤立していても寂しさを感じない人もいる。逆に、たくさんの人とのつながりがあっても孤独を抱えている人もいる。一般的に、男性や高齢者は孤立しやすく、女性や若者は孤独を感じやすいと言われている。
前述の『高齢初犯』の番組では、この孤立状態に陥った高齢者がふとしたことで初めて犯罪に手を染めてしまう危険性を示唆した。
電車に乗ると、みなスマホとにらめっこで誰も人の顔など見ていない。こんな世のなかでは、働くことを辞め、社会と接する機会がなくなった高齢者が「孤立」を感じてしまうこともあるだろう。
「NNNドキュメント」公式HPより