【今日のタブチ】「人を殺してみたかった」という欲求や衝動の「闇」~近年目につく少年による殺傷事件を大人は看過してはいけない
最近、「人を殺してみたかった」という欲求や衝動から、殺傷事件を起こす少年が目につく。そんなふうに感じて、私は気になっていた。すると、ちょうど新聞でもそういった傾向を取り上げ警鐘を鳴らしている社説があった。危惧していたのは、私だけではないということだ。
愛知県田原市で高齢夫婦を殺害した容疑で、同居する孫で高校2年の少年(16)が逮捕された。少年は「人を殺してみたくなった」と供述した。同時期に、千葉県千葉市の路上で高齢女性を殺害した容疑で逮捕されたのも、中学3年生の少年(15)だった。少年は「弱い人を狙った」「少年院に行きたかった」と語った。
近年、過去にも同様の事件が目立っている。
2024年には、神奈川県相模原市で高校1年生の少年(16)が両親を刃物で殺害。2023年には、佐賀県鳥栖市で大学生(19)が同じく両親をナイフで刺して殺害した。これら相模原と佐賀の事件の背景には、家庭内の暴力や教育虐待などがあったことが公判の過程で明らかになっている。
前述の愛知や千葉の高齢者を狙った事件は、まだこういった犯行の背景が明らかになっていない。だが、自著『発達障害と少年犯罪』で記しているように、私は何らかの家庭環境の負荷が少年たちの心にのしかかっていたことが「トリガー」となった可能性が高いと確信している。誤解を受けないように述べておくが、この書籍は発達障害と犯罪の直接的な関係を主張するものではない。
一見、〝衝動的〟と見える事件にも必ず「原因」がある。私たち大人は、そんな子どもたちの心に潜む「闇」に目を凝らし、しっかりと見つめることで、彼らの「心の叫び」を聞き取らなければならない。それはなぜか?
実際に、エビデンスが目の前に提示されているからだ。
地下鉄の東大前駅で切りつけ事件を起こし、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された戸田佳孝容疑者(43)の例がそれだ。彼は逮捕後の調べで「教育虐待を受けた」と述べている。それが事実だとすれば、彼は少年のころにその「心の叫び」を看過されてしまったことにならないか。
もちろん、それを理由に他者を傷つけていいわけがない。しかし、今日のブログで取り上げたこれらの事件はすべて「地続き」であることに、私たちは気づかなければならない。
「FNNプライムオンライン」より