【今日のタブチ】「読書犬」セラピードッグが開く「心の扉」―「不登校児童」に寄り添う〝教育的〟な癒しの力
ここ数日、ハードな話題が続いたので、息抜きというわけではないが、少し「ほっこりする」ニュースをお届けしたい。
皆さんは、「読書犬」、別名「セラピードッグ」というのをご存じだろうか?
子どもが犬に本を読み聞かせることで、読書への自信や楽しさを育む支援活動のことを指す。セラピードッグ(癒し犬)が、子どもの読み聞かせ相手になる。犬の役割や関わり方などの説明を受けた後、犬が待つ部屋へ移動。参加者の子どもと犬、ハンドラー(飼い主)が各ブースで、思うままの格好で読み聞かせする。子どもは犬が喜びそうな本を選んで持参する。ポイントは3つだ。
1.犬は間違えても指摘せず、静かに寄り添って聞いてくれる存在だということ
2.子どもは「評価されない安心感」の中で、読書に集中できる
3.犬のために本を選ぶという行為も自発性を養ってくれる
そして結果的に子どもの達成感や自己肯定感を向上させることができる。音読や読書が苦手な子ども、喜んで取り組むという。
実際に、栃木県鹿沼市、三鷹市立図書館、千葉県流山市市立おおたかの森図書館など、全国で広がりつつある。
素晴らしいと思った。
この活動は、単なる読書支援にとどまらず、心のケアや社会的つながりの回復にもつながる。私が注目しているのは、増加する「不登校児童」の支援につながるのではないかということだ。
2023年度の文科省の調査によれば、小・中学生の不登校児童生徒数は約34万6千人。前年度比15.9%増で、11年連続増加、もちろん、過去最高だ。
そして私が「読書犬」に期待するのは、登校のきっかけづくりだ。「犬に会いたい」という動機が、学校や図書館などの公共空間へ出かけてゆく第一歩になるのではないかと考えている。実際に「学校犬」の導入で不登校児童ゼロを達成した事例もある。
東京都杉並区の立教女学院小学校の取り組みが広く知られている。2003年から「動物介在教育」として学校犬バディを導入。導入から12年間、不登校児童ゼロを達成した。バディは読み聞かせの相手だけでなく、さまざまな役割を果たした。教室や校庭で児童と一緒に過ごし、散歩や世話を通じて交流。6年生が「バディ・ウォーカー」として犬の世話係を担当し、犬の出産・子育てを見守ることで、児童が「お母さんって大変だね」と実感する場面もあった。
「読書犬」は、単なる癒しの存在を超えて、教育の一環として機能する可能性を秘めている。
「毎日新聞デジタル」より