【今日の新聞から】「映画助成金不交付は違法」から思うこと

映画「宮本から君へ」に出演したピエール瀧氏の不祥事を理由に助成金を取り消されたことによる「表現の自由」を巡る最高裁判決が出された。結果はご存知の通り「違法」とのことで、前回の2022年東京高裁の判決「適法」を覆す結果となった。

私としては、この結果に関しては「当然」としか言いようがないが、このことからあることを想起した。

それは昨今の元ジャニーズ事務所をはじめとする「芸能事務所の不祥事にメディアはどこまで責任を負うべきなのか」という問題である。特に今回のジャニー喜多川氏の性加害問題の際には、同時期にテレビ局をはじめとするメディアが元ジャニーズ事務所のタレントを使い続けていたことや、性加害を知りながら耳を塞いで知らぬふりをしていたことを非難された。この背景には、テレビ局は公共の電波であるのだから自らが使う出演者に関しても責任を持つべきだという考え方がある。

私は、映画助成金不交付を違憲としたことは、上記の芸能事務所不祥事の問題にも大きく影響してくると考える。今回の最高裁の判決は、あいまいな「公益性」というものに警鐘したものだ。だとすれば、公共の電波としてその公益性を問われていたテレビ局の事例はどうなるのか? 出演者の不祥事の責任を作品の創り手に問わないのであれば、元ジャニーズ事務所問題も同様なのではないか。

映画とテレビ、そのメディアの違いというだけで、「公益性」「公共性」における責任の度合いが違うという解釈になるのであれば、法の「ダブルスタンダード」になってしまっていると指摘せざるを得ない。それは良くないことだろう。
みなさんはどう考えるだろうか?

元ジャニーズ事務所の事件、およびジャニーズ喜多川氏に関する考察、およびテレビ局の芸能事務所への「忖度」の問題に関しては、1月10日にポプラ新書から発売予定の拙書(タイトル未定)で詳しく検証、分析している。そちらの方も、ぜひご一読いただきたい。

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