【今日の新聞から】優秀な人材を生かせない、わが国ニッポン
今朝の新聞を読んでいたら、歌舞伎役者の中村獅童氏がご自身の3歳の息子さんの両手の小指が生まれつき欠損していることを明かし、「本人にはチャレンジドの自覚がまだない」と語っていた。恥ずかしながら、この記事を読むまで障害者を「チャレンジド」と呼ぶ動きがあることを私は知らなかった。
社会福祉法人プロップ・ステーションの理事長・竹中ナミ氏によると、「チャレンジド」というのは……
最近の米語で「神から挑戦という課題、あるいはチャンスを与えられた人」を意味し、障害をマイナスとのみ捉えるのでなく、障害を持つゆえに体験する様々な事象を自分自身のため、あるいは社会のためポジティブに生かして行こう、という想いを込めた呼称である。
昨日も気になるカタカナワードを3つ紹介したが、今日の「チャレンジド」も含め、気になる言葉がすべてカタカナだということは、いかに日本の外からインバウンドされる考え方や意識に先進性があるかということだ。逆に言えば、いかに日本がそういった社会を変えるための考え方や意識改革に遅れをとっているかということを露見することにもなっている。
そのこのことを証明するデータが今朝の新聞に載っていた。
フランスなどに拠点を置く世界有数の経営大学院インシアードがこのほどで発表した2023年版「世界人材競争力指数」報告書で日本は世界26位だった。これは過去最低のランキングで、アジア地域では韓国にも抜かれた。「世界人材競争力指数」は、人材を引き付け、受け入れ、育成し、維持する能力に加え、人材の職業・技術スキル(中級スキル)、グローバル知識スキル(上級スキル)のレベルといった6つの柱を中心に分析し、ランキング化したものだ。
AIによって先進的な労働市場とそうでない労働市場が今後はさらに分かれる可能性がある。世界経済の不確実性が貿易や投資に影響を与える中、こうした「人材獲得戦争」は今後も続く。そんななかで、日本は優秀な人材から観ると〝魅力のない〟〝ブランド力のない〟国とみなされているのだ。
日本がいかに世界の「先進性」から取り残されているか、私たち日本国民一人ひとりが自覚する必要がある。日本のスタンダード(常識)はグローバルスタンダード(世界の常識)ではない。ハラスメントや労働環境、すべてにおいてそうなのだという認識、そしてそのことに対する危機感を持ってそれを変えていこうという考えを持つことが大切なのではないだろうか。