【今日のタブチ】「こどもの日」に子どもの「意見を聞く」ことの大切さを思う~本学・桜美林大学の授業で実践している「答えはひとつではない」と「答えは自分で作り出す」
「こどもの日」の今朝は、新しいことを知り、そして気づかされることが多かった。
総務省の発表によると、日本の子ども(15歳未満)の人口は去年に比べて35万人も減り、51年連続して低下しているという。総人口に占める子どもの割合は0.2ポイント減の11.1%と過去最低を更新。これは世界にある人口4千万人以上の国37のなかで、韓国に次いで2番目に低い数字であるというが、これは知らない事実だった。
また、2023年に「すべての子どもが安心して育ち、幸せな人生を送れるように」という目的で「こども基本法」が制定されたことは知っていたが、子どもが関係する施策の決定や実行の折には「当事者である子どもの意見を聞くことが自治体に義務づけられている」ということまでは認識していなかった。
「子どもの意見を聞く」「子どもの考えをすくいあげる」ということが大切なのだと、改めて感じた。
本学・桜美林大学の私の授業「映像デザイン論」や「ドキュメンタリー論」などでは、AL(アクティブ・ラーニング)をおこなっている。随分一般化したのでご存じの方も多いと思うが、「アクティブ・ラーニング」とは、グループワークやディスカッションなどを通じて学生や生徒が主体的に学びを進めていく学びの手法だ。そしてそのALを通して、私は「答えはひとつではない」と「答えは自分で作り出す」ということを徹底して伝えるようにしている。VUCAや多様性の時代においてさまざまな問題が起こったときに、柔軟かつ臨機応変に対応するためにはこういった「答えはひとつではない」という考え方が必要になる。そして、その先にあるのは「答えは自分で作り出す」のだという意思と力だ。
実例を挙げよう。
例えば、先日4月30日㈬の「映像デザイン論A」の授業である。この日の大テーマは……映像ビジネスの仕組みⅲ:「モノ」はどうやって成り立つのか……である。そしてグループディスカッションは…… 「ドラマ」と「ドキュメンタリー」においてどういうふうに企画の立て方が違ってくるのだろうか? 皆さん一人一人がそれぞれの番組のプロデューサーやディレクターになったつもりでなるべく具体的に考えてみてほしい……というものだ。その際に私は最初に「自分の考えを述べるのを恐れないで」「『間違っている』とか思わないで」と注意する。「答えはひとつではない」し、「答えは自分で作り出して」いいからだ。すると、とても多くの多様性に満ちた答えやアイデアが出てくる。なかには、私も予想できないような素晴らしい発想に驚かされるものもある。私は各グループのリーダーが発表する内容を板書してゆくが、毎回ボードがいっぱいになって書ききれないほどのアイデアや意見が出る。本学・桜美林大学の芸術文化学群の学生は特に〝芸術的な〟考え方や「人と違うことが価値」と考える者が多いという特性も関係しているのだろう。
翌日5月1日㈭の「ドキュメンタリー論A」の大テーマは……民放のドキュメンタリー:牛山純一が目指したもの……であったが、グループディスカッションは……皆さんは「民放でドキュメンタリーを続けることの大変さ」は何だと思いますか? グループで話してみてほしい……というものだった。民放でドキュメンタリーを作ったことがある者など学生のなかにはいるはずもない。だが、想像をして「もしそうだったら、どうなのか」ということを考えることが大切なのだ。まさに「答えを自分で作り出す」行為である。この回のボードも、とても発想力豊かなアイデアでいっぱいになった。
このように、子どものころから「人から意見を求められ」「自分の考えを述べる」ことを育んでいけば、本学の学生のように、自分の意見を自発的に述べることができるような若者になり、そして社会に出たときに、おかしいことには「変だ」と声を挙げることができる大人になることだろう。
それこそが、日本の未来を良くしてゆく最善の策なのではないだろうか。
「TeamHacker」HPより