【今日のタブチ】「地雷」という「世界で最も卑劣な兵器」を除去するロボット~日本のスタートアップ企業の狙いとは?
「世界で最も卑劣な兵器」といわれる対人地雷。アフリカ、アジアを中心に今でも1億1000万個の対人地雷が地中に埋まっていて、子どもたちの命を狙っている。そんな地雷を除去するロボットを、日本のスタートアップ企業が開発した。そして3台が世界各地で除去に取り組むイギリスのNGO「ヘイロー・トラスト」に寄付された。
このIOS株式会社が開発した「DMR」というロボットは、圧縮空気を利用して地面を掘り起こす技術を採用している。従来の手作業に比べて作業時間を大幅に短縮できるが、何といっても注目すべきはその「安全性」だ。遠隔操作が可能なため、作業員が安全な距離から操作できる。地雷爆発のリスクを最小限に抑えられるのだ。また、軽量で持ち運びが容易なため、山間部や機械が入りにくい地域でも活躍できるという。こうした技術は、カンボジアやウクライナなど、地雷汚染が深刻な地域で特に注目されている。
私がアフガニスタンに取材で訪れた際に、幹線道路を一歩でも離れるとそこは「地雷原」で、私が用を足したくなりふらふらと道端に足を踏み入れようとしたときには、コーディネイターからえらい剣幕で止められた。止めてもらわなければ、命はなかったかもしれない。地雷は埋めた人間しかその場所がわからないと言われていて、そのため敵兵を捕らえて、地雷を探させるという。その方法も人道を無視した卑劣な行為だ。
今回のスタートアップ企業の狙いは、地雷除去後の土地活用も視野に入れ、地域経済の再生に貢献することだと聞いて、感服した。単に地雷を取り除くだけでは、その地域の持続可能な復興にはつながらない。特に農業が主要産業である地域では、除去後の土地をいかに活用するかが、地域経済を再生する鍵となる。そういうことから、彼らが進めているのが、例えばカンボジアで展開しようとしている「カシューナッツ生産計画」だ。カシューナッツは現地の気候に適している。カンボジア国内での栽培や加工がおこなわれることで、現地雇用の創出や経済の活性化が期待されている。
何事も、一歩先のことを考えるのが重要なのだと思った。
「IOS株式会社」HPより