【今日のタブチ】韓国戒厳令の事件でハン・ガン氏の『別れを告げない』を思う

昨日の韓国の戒厳令は、光州事件などがあった1980年代初頭以来で、87年の民主化以降初めてのことだという。
今回の戒厳令で、最近読んだハン・ガン氏の『別れを告げない』を思い起こした。
この『別れを告げない』は「済州島四・三事件」を題材にしているが、なかなか日本では政治的なテーマをモチーフにした小説は一般的ではない。だが、このノーベル文学賞の作家はこういったハードなテーマにも果敢に挑み、見事な友情と愛情物語というヒューマンな小説に仕上げている。さすがの手腕だ。
「済州島四・三事件」は1948年4月から49年5月まで続いた済州島における虐殺事件である。当時はまだ米軍占領下にあった南朝鮮の単独選挙反対を掲げ武装蜂起した多くの民間人が殺された。
そしてこの大虐殺を指示したのが、大韓民国の初代大統領、李承晩であった。
だから、私は「また韓国大統領がとち狂ったか」と感じてしまったのだった。

この理由として、韓国大統領が「帝王的」大統領と称されるほどの強大な力を持っていることが挙げられる。国家元首であり行政のトップ、さらには国軍の統帥権も持ち、予算と人事を一手に握っている。だが、その強大な権力の一方で、任期5年で再選の道がない「一発勝負」のようなところもあるため、こういった思い切った〝無謀〟とも言える愚行に出るのだと私は分析しているが、皆さんはどう考えるだろうか?

「読売新聞オンライン」より

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