【今日の新聞から】川越立てこもり事件の「再犯」を考える

2022年6月、埼玉県川越市のインターネットカフェに立てこもって人質の女性を負傷させたとして逮捕監禁致傷などの罪に問われた犯人に、17年の懲役判決が出された。これを読んで「結構、量刑が重いな」と感じた。
そしてよく記事を読んでみると、理由がわかった。
この男は2012年にも愛知県豊川市の信用金庫で人質立てこもり事件を起こして、懲役9年の実刑判決を受けていた。去年の事件は当時から認識していたが、前科があるとは知らなかった。しかも、同じ立てこもり事件だ。そして今回の事件は、2012年の事件の服役が終わって出所したばかりに起こしている。

弁護側は、男に「反社会性パーソナリティ障害」があった可能性を主張しているが、だとすれば一度目の事件の折にその医療的な処置はちゃんと施されたのだろうか。
もちろん、罪を犯した当人が一番悪い。だが、「反社会性パーソナリティ障害」だけではなく、もしかしたら「境界性人格障害」やはたまた「自閉症スペクトラム障害」である可能性もあるだろう。それによって犯した罪は消せない。しかし、「反社会性パーソナリティ障害」や「境界性人格障害」、「自閉症スペクトラム障害」だとしたら、ちゃんと医療的な処置を施さないとまた再び同じような犯罪を繰り返すことも考えられる。そうなると「いたちごっこ」だ。

これらについての社会や周りの役割、医療と連携して再犯を防ぐ取り組みの重要性に関しては、拙著『発達障害と少年犯罪』に詳しいので、興味がある方は読んでみてほしい。そして、もしよければこのサイトに意見をお寄せいただければ幸いである。
https://www.shinchosha.co.jp/book/610766/

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