【今日の新聞から】日々の生活に潜む「ハリーアップ症候群」の罠

今朝の新聞を読んでいて、聞きなじみのない言葉を目にした。「ハリーアップ症候群」という言葉だ。羽田空港の日本航空機と海保機の衝突炎上事故の発生に、この症候群が関わっていたのではないかと専門家が指摘している。海保機の機長が「早く飛び立たなければ」と急ぐ気持ちが今回の事故を引き起こしたのではないかというものだ。
時間との闘いを強いられ、常に追われているような感覚に陥るこの症候群は、実は普段の生活のなかにも潜んでいるリスクだ。情報社会が発達して追い立てられているような忙しい毎日を過ごす私たちにとって、心と身体に大きな悪影響を与えている可能性があるからだ。

想えば、去年の3月までテレビ局員として働いていた私はまさにハリーアップ症候群に陥っていた。誰かからメールが来ていないかと常にチェックをして、メールが来ていると「すぐに返信しなければ!」と気持ちが焦った。例えば、タレントや俳優に出演依頼をしているときも、「早くマネージャーに返信しなければ、チャンスを逸する」と思ってしまっていた。瞬時の差で他局のプロデューサーに持っていかれると感じていた。いまそんな立場から距離を置くようになって、その状況の異常さを実感している。
この「ハリーアップ症候群」は私たちの日常生活をむしばんでいる。例えば、今日の私。大学に出講するまでの間にも、いくつかの局面でハリーアップ症候群に陥っていることを認識して反省した。
エスカレーターを駆け上がってはいけないと言われているのに、駆け上がってしまった。チャイムがなってから電車に駆け込んでしまった。停留所にバスがいるのが見えたとたんに、「間に合うように」と走ってしまった。そのどれもが「急がなければいけない」という焦りからの行動だ。
そういった日ごろの行動に事故や事件につながる罠が潜んでいる。肝に銘じなければならないと改めて思った。

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