【今日の新聞から】父親がこだわる「娘の敵討ち」

2020年に逗子市のマンション敷地で起こった斜面崩壊事故に関する記事があった。
この事故では、土砂に巻き込まれ当時18歳の高校生の女性が亡くなった。遺族の父親がその胸のうちを語っていた。

「病院で再会した娘の頬は、まだ温かかった」
「大学進学が決まったばかりだった」
「貯めたバイト代で妹をディズニーランドに連れていく話をしていた」

無念でならないだろう。同じ親という立場として、考えるだけで涙がこみあげてくる。
父親はさらに続けて語った。

「誰も責任を認めようとしない」
「娘の敵討ちのつもりで責任追及を続ける」

こういった事故の場合、当事者はもうすでにその会社や部署にいなかったりする場合が多いので、法の場で裁かれない限り直接的な反省の声を聴くことはない。父親がかわいそうだ。「娘の敵討ちのつもりで責任追及を続ける」と言うが、恨みの気持ちからは何も生まれないからだ。その遺恨の発端は「誰も責任を認めようとしない」ことにあることは明白である。
父親の気持ちを楽にしてあげること、そして亡くなった娘さんの冥福を祈るためにも、会社側は「崩落を予見できなかった」と逃げているばかりでなく、誠意を見せてあげてほしい。
そして当事者の誰か一人でもいいから、父親に「ご無念はよくわかります。管理不行き届きですみませんでした」と誤ってあげてほしい。父親と娘の魂の解放のために……。「今日のタブチ」はそう思う。

【今日の新聞から】父親がこだわる「娘の敵討ち」” に対して2件のコメントがあります。

  1. 花房幸世 より:

    多岐に渡っていろいろな事件や被害についての意見見解同じ年で同郷の私としては、共感する事大いにあります。それぞれ時代や人の育った背景等も田淵さんは、鑑みてるようです。さすがです。
    今、正月から入院中の身で手と足の大切さを痛感してます。何も出来なくなっても自分より不自由な人を助けてあげたい。と、日本人らしい❓️こともおもいます。が、実際動いて行って看護士さんに叱られてばかりです。早く治して帰りたいです

    1. 田淵 俊彦 より:

      花房様
      コメントをありがとうございます。過大なるお褒めの言葉も恐縮です。
      「正月から入院」とのことで大変ご不自由なことと思います。
      でも、そんな状態を「不自由」と思わず、ずっと忙しくしてきたであろう花房さんに「少し休みなさい」と神様が与えてくれた「つかの間の休暇」だと思っていただきたいと思います。その人の人生は生まれてから死ぬまでの間で「バランスが取れている」と言います。自分が「悪い」と思う状態が続けばきっと「良い」と思う状態がやってきます。そして実は「あのときに悪いと思ったことも実はそうではなかった」ことに後になって気づくのだと思います。
      とにかく、気持ちをゆったりと持って、ゆっくりご養生してください。
      これからも気軽にコメントをお願いします!

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