テレビ朝日開局65周年ドラマプレミアム『万博の太陽』が礼讃する大阪万博

3月24日に放送されたテレビ朝日65周年ドラマプレミアム『万博の太陽』を視聴した。

まず、「何だ? ドラマプレミアムって?」と奇妙に感じた。「プレミアムドラマの間違い?」「プレミアムドラマとどう違うの?」と思ったからだ。
だが、よく考えてみると私がテレ東に在職中も、「スペシャルドラマ」をひっくり返して「ドラマスペシャル」にしてみたり、「特別ドラマ」を「ドラマ特別企画」としてみたりなど、どうにかして「目新しさ」を出そうと必死だった。
いま、「いち視聴者」になってこういうアピールを目にすると、痛々しいと感じてしまう。

このドラマは、テレ朝の公式HPによると以下のような仰々しいキャッチが謳われている。

世界への憧れを胸に、夢に邁進したヒロインと家族の物語!

1970(昭和45)年、アジアで初めて開催された日本万国博覧会(大阪万博 EXPO’70)――。“人類の進歩と調和”をテーマに当時史上最多の76カ国(その他4国際機構、1政庁、6州、3都市、2企業)が参加し、入場者数は国民の6割に相当する約6422万人を記録! 空前絶後の熱気を生み、日本の高度経済成長を象徴する国民的イベントとなりました。今なお伝説として語り継がれるその一大祭典を、《脚本・中園ミホ×主演・橋本環奈》という超豪華タッグでドラマ化! 「世界中の人たちとつながりたい!」という思いを胸に万博で働くことを夢見たヒロインの青春と、その家族の物語を心温まるタッチで描き上げるヒューマン・ホームドラマが誕生。テレビ朝日開局65周年記念作品としてお届けします。(番組公式HPより抜粋)

以下にこのドラマに関する私見を述べたい。最初に申し上げておくが、あくまでも私見であり、個人の感覚によるものであることを了承いただきたい。なかには〝歯に衣を着せぬ〟物言いもあるかもしれないが、論点を明確化するためにファジーな表現はあえて避けた。

作品の内容的には、正直言って「ステレオタイプな作り」という印象だった。
「お見合いがうまくいかない女性」が頑張って成長してゆく⇒自分の夢をあきらめずに実現してゆく、という流れだが、NHKの朝ドラっぽいノリが私には苦手だった。人情話でくるんでいるが、本人(主人公)は運に乗っかっているだけで何も努力していないではないかと思ってしまったからだ。
また、レトロ感を出すためなのか、古ぼけた映像加工が暗さを感じさせて見にくかった。
そして何よりも大きな欠点は、中途半端な「昭和感」という演出だ。唐沢寿明氏の演技はさすがで安心して見ていられるが、脚本がそうなっているからなのか、演出のせいなのか、「女は早く結婚して元気な子どもを産め」や「女は世界のことなんか知らなくていい」など「女のくせに」といった昭和のノリの描かれ方が中途半端で逆に鼻についた。
「女性軽視」の時代に夢をあきらめずに……ということならば、もっと「女性軽視」の様を描くべきだった。このあたりは、TBSの『不適切にもほどがある!』の振り切り方まで至っていない「コンプラの限界」を指摘したい。
「自分の人生を歩み始めた千夏を邪魔する資格は、親にも誰にもない!」と啖呵を切って親をビンタまでする主人公には、「おいおい、それはあり得ない設定だろう」と突っ込んでしまった。マンガ過ぎる脚本と演出だ。見ているこちらが恥ずかしくなってしまった。

そして何よりも私が驚いたのが、昨今の次期大阪万博へのバッシングや不満が噴出しているこのときに、過去のものとはいえ「万博礼讃」ドラマを放送するテレビ局の「無神経さ」と「良識のなさ」である。
しかし、それも提供スポンサーを観ると、納得した。NTT、トヨタに始まり、サントリー、アサヒ飲料、花王、明治、大正製薬などのナショナルスポンサーと呼ばれる企業がずらり。いかに大阪万博に乗っかって企業業績をあげたいかが見え見えだ。

なぜ、この時期にこのドラマを放送したのか……その答えは私が言わなくとも、賢明なる読者の皆さんはもうおわかりだろう。

テレビ朝日「番組公式HP」より

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